
珠玉の一枚 Vol.41 【大分県】
その他
大分県内の高校ウエイトリフティングの女子選手は4人。その中でもパイオニア的存在なのが、大分工業の芋岡英恵(2年)だ。中学生の頃は合唱部に所属していた芋岡は、高校入学と同時にウエイトリフティング部のマネージャーになった。部内の雰囲気は良く、優しい先輩、同級生に恵まれ、充実した日々を送っていた。
そんな彼女に転機が訪れる。一緒にマネージャーをしていた一人がテニス部へ転向したことがきっかけとなり、「自分もなにか挑戦してみたい」と思うようになった。そこで選んだのが一番身近で見ていたウエイトリフティングだった。これまでスポーツをしたことのない芋岡の突然の決断に、周囲は一様に驚いたという。顧問の先生に選手になりたいことを告げると「よく考えてきなさい」と言われたが、断固たる決意は変わらなかった。
マネージャーから選手に転身した芋岡(2年)
練習が成果として現れることに惹かれていった
晴れて選手になった芋岡だったが、当時は大分県内で高校女子のウエイトリフティング選手はただ1人。男子の先輩が指導してくれ、一緒に練習に付き合ってくれたが、やはり孤独だった。県高校総体などの試合もオープン参加という形でしか出場できなかった。しかし、辞めようと思ったことは一度もなかった。「いままで挙げられなかったバーベルがトレーニングで挙げられるようになるのが楽しい」と、練習が成果として現れることに惹かれていった。
2年生になると女子の後輩ができ、杵築高校、宇佐高校でも女子部員が誕生した。「1年生が入ってくれたことで切磋琢磨しながら練習ができる。また、女子の競技人口が増えたこともうれしい」と徐々に広がる女子選手の誕生を歓迎した。
これまで運動部に所属したことのなかった芋岡だが、入部したことで様々な変化があった。「精神力が鍛えられた。『逃げたい』と思うことでも、耐えることができるようになった。普段のあいさつもいつの間にか自然に出てくるようになった」と自分の成長を語った。梶原誠監督は「女子選手のさきがけ。これから大分県を牽引していく存在だし、能力もある。力をつけていけば優勝も狙える」と、その可能性に期待を寄せる。
11月にある県高校新人大会での目標は、自己ベストの更新。その目標を胸にきょうも男子に混じってトレーニングに励む。
11月の新人大会では自己記録更新を狙う
(緒方美香)
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