
珠玉の一枚 Vol.41 【大分県】
その他
ホッケー女子日本代表「さくらジャパン」が、2018年に英国・ロンドンで開催されるワールドカップ出場を決めるなど、国内での関心が徐々に高まるフィールドホッケー。しかしその競技人口はまだまだ少なく、県内でホッケー部を擁する高校は玖珠美山のみ。だが玖珠町と競技の結びつきの歴史は古い。旧森高校の時代から、全国の大舞台での上位入賞を果たしてきた実力校としての誇り-。11月に開催を控えた「全国高等学校選抜ホッケー大会」に向け、気持ちを新たに競技に打ち込む選手たちを訪ねた。
取材に向かったのは08年に大分国体、13年には全国高校総体の試合会場として熱戦が繰り広げられた「メルヘンの森スポーツ公園ホッケー場」。四方を山に囲まれた競技場は玖珠美山高校から車で5分程の距離にあり、15人の女子部員たちは週末になるといつもこの場所で汗を流す。今年の全国高校総体(南東北インターハイ)では、目標に掲げていたベスト8を達成。国体への切符を懸けて挑んだ九州予選では、優勝した長崎県に敗れ、3位敗退という結果に止まった。
学年の垣根を越えたチームワークが強み。高校から競技を始めた選手も多い
チームを指揮する穴井孟司監督も「全国という舞台に初めて立ったことで、これまでは対戦さえも許されなかった強豪校と戦うことができた。インターハイでは名門・岐阜各務野高校に大敗してしまったが、レベルの高いチームを相手に選手はよく戦ってくれたと思う。この経験は大きな財産になった」と前を向く。チームが取り組むべき課題も明確になった。動きやパスのスピード強化はもちろん、思考から判断まで全ての要素における“速さ”がまだまだ全国の強者たちに比べ、決定的に劣っていた。選抜大会までの調整期間はわずか2カ月だが、的確な課題設定が勝利への近道であると信じたい。
選抜大会への参加は3年生も認められているが、玖珠美山は1年生が主体となる新体制で挑む。元々2年生が在籍していなかったチームにとって、他校との戦力の差は大きく、苦しいゲームが予想される。春に入部した1年生のうち半数以上は競技初心者。けれどその不安をチームに残留する主将・宇田未夢(3年)が持ち前の明るさで吹き飛ばした。「私も高校からホッケーを始めたが、当時を振り返っても今の1年生は覚えが早い。これからの成長を期待できるチームなので、試合では後輩たちを精一杯サポートしたいと思う。国体予選での悔しさを選抜大会で晴らさないと!」。百田美月(1年)も「今までかっこいい姿をたくさん見せてくれた3年生に恥じないプレーをしたい」と続けた。チーム状況が変わっても、胸に抱いた思いはひとつ。挑戦することを諦めない、ひたむきな選手たちの姿がそこにあった。
宇田未夢(3年)=左=と百田美月(1年)
ホッケーは運動量が多いハードスポーツ。競技は基本的に2ハーフ各35分で行う
(塩月菜央)
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