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大分トリニータ 木許太賀 チャンスをつかみ、停滞を打ち破れ 【大分県】

大分トリニータ 木許太賀 チャンスをつかみ、停滞を打ち破れ 【大分県】

 プロ3年目。大分トリニータのFW木許太賀は、ようやく「スタートライン」に立った。今季は第5節・鹿児島戦で初のベンチ入りを果たし、ピッチに立つと、8節・山口戦では後半開始から起用されるなど、徐々に出場時間を伸ばしている。けが人が相次ぐチーム事情も重なり、巡ってきたチャンス。しかし、本人にとってそれは偶然ではない。「やっと来た」。その言葉の裏には、積み重ねてきた時間がある。

 大分出身のアカデミー育ち。地元の期待を背負ってプロの世界に飛び込んだが、ここまでの道のりは決して順風満帆ではなかった。昨季は出場機会を求めてJ3の讃岐へ期限付き移籍。しかし、思うようにピッチに立てず、結果も残せなかった。それでも「腐ることはなかった」と言い切る。「自分のプレーをやり続けるだけ」。そのシンプルな信念が、心を折れさせなかった。

 小柄な体格ながら、豊富な運動量で裏を狙い続ける。ドリブルで仕掛け、シュートまで持ち込む。その積極性こそが持ち味だ。今季はその“攻め気”をより前面に押し出す。「結果はゴール」。迷いのない言葉に、覚悟がにじむ。形にはこだわらない。ただネットを揺らす。その一点にすべてを懸けている。

徐々に出場時間を伸ばしている木許

 転機は、少しずつ訪れている。試合に出れば「やれる」という自信はもともとあった。だが、結果が伴わなければ評価は変わらない。昨季、一時はアシストを記録し「来た」と感じた瞬間もあったが、スタッフの信頼をつかみきれなかった。プレーの断片ではなく、継続して結果を示し続けること。その難しさを、痛いほど知った時間でもあった。それでも歩みは止めなかった。自分の武器を磨き、出番が来たときに備え続けた。だからこそ今は違う。「今回はチャンスをつかむ」。言葉は短いが、その決意は揺るがない。ここで証明できるかどうかが、この先を分けると分かっているからだ。

 一方で、課題から目を背けることもない。これまで出場機会を阻んできた要因の一つが守備である。木許自身もそれを理解している。「守備はずっと課題」。球際の強度、前線からのプレス。日々の積み重ねが少しずつプレーに表れ始めている。四方田修平監督も「攻撃で面白いものを持っている選手」と評価しつつ、「守備も含めてもっと積極的に」とさらなる成長を求める。

 四方田監督が語る基準は明確だ。「点を取りに行くための守備」。守るために守るのではない。ボールを奪い、攻撃につなげるための守備である。その思想の中で、木許に求められるのは、攻守の両面で局面を変える力だ。実際、狭い局面でも一瞬の判断と技術で流れを変えられることは、四方田監督も認める武器である。

5日の鳥栖戦でプロ初ゴールを決めると宣言

 本人もその自覚はある。「ドリブルもパスも得意」。調子の良いときは「見えるものが増える」と語る。視野が広がり、選択肢が増える。その感覚をいかに試合で再現できるかがカギとなる。そして何より、「ボールを持ったらシュートまでいく」。このシンプルな意識こそが、重要だと理解している。

 ポジションへのこだわりもはっきりしている。勝負したいのは前線、とりわけシャドー(トップ下)の位置だ。ゴールに最も近い場所で、自分の価値を示す。その覚悟がある。

 チャンスは、待つものではない。つかみ取るものだ。木許は、その入口に立っている。これまでの停滞も、もがいた時間も、すべてはこの瞬間のためにある。求められるのは結果で、ゴールという形だ。


(柚野真也)

大会結果