
【指導者の肖像〜高校スポーツを支える魂〜】 信じる力が未来を変えていく 柳ケ浦高校バスケットボール部監督・中村誠(前編)
バスケ
1カ月後に控えた県高校総体前特集として、5月29日から1回戦が行われるバスケットボール女子の強豪校4校を紹介する。第3回は独自の攻撃スタイルで4年ぶりの全国高校総体を狙う藤蔭。
攻守の切り替えが速い「トランジションゲーム」を得意とする藤蔭のバスケットボールは見ていて面白い。ボールを持てば誰もがリングを目指し、自陣から敵陣まで一気に駆け抜ける。個々の技術を存分に生かしたスタイルは1人で得点まで完結することが多いが、守備は連係を駆使した複数のシステムを使い分ける。
チームの核となるのはキャプテンの梅徳里李花(3年)。1対1に強く、シュート技術も高い。得点のバリエーションが多く、スコアラーとしてチームを引っ張る。梅徳に次ぐ得点源として、岩崎日香、太田侑里の3年生もシュート力に自信を持っており、リングに触れずにネットを揺らすクリーンシューターだ。伊藤陽和里(3年)は藤蔭スタイルを体現する選手の一人。ボールを運ぶ役割を担うが、そのスピードは群を抜き、止まらない。カットインからのレイアップで一気に得点する。
県高校総体でリベンジを誓う梅徳里季花
県高校総体の前哨戦となる南九州四県対抗バスケットボール選手権大会県予選では、個性派集団は順当にトーナメントを勝ち上がったが準決勝の明豊戦でつまずいた。梅徳が徹底的にマークされ、チーム全体がリズムを失った。梅徳がボールに触れる時間は圧倒的に少なく、得点だけでなく、味方を生かすプレーも阻まれた。攻撃時にスクリーンプレーを多用し、守備からリズムを立て直そうとゾーンに切り替えたが、主導権を握れずに試合を終えた。
芦川尚子監督はエースをシャットアウトされたことに「どんなに厳しいマークでも振り切り得点するのがエース」と叱咤(しった)したのは期待の大きさゆえ。岩崎に対しても同様に「自分のプレーができなければコートに立つ必要がない」とベンチに下げる厳しい采配で奮起を促した。「チームの弱さが出た。この悔しさは(県高校)総体で晴らすしかない。何を感じ、どうつなげるかは彼女たち次第」(芦川監督)と見守る構えだ。悔しさを糧にできたか、県高校総体で試される。
持ち味のスピードでコートを駆ける伊藤陽和里
(柚野真也)
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