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クラブ訪問 バスケットボール 空白を埋める場所 LOTUS U―15の挑戦 【大分県】

クラブ訪問 バスケットボール 空白を埋める場所 LOTUS U―15の挑戦 【大分県】

 中学年代における“空白”を埋める場所が、また一つ大分に生まれた。昨年3月、バスケットボールクラブ「LOTUS U―15」が設立された。背景にあるのは、地域の部活動縮小という現実である。小学生まで懸命にボールを追いかけてきた選手たちが、中学で環境を失い競技から離れていく。その流れを止めたいという保護者の声と、現場でそれを見続けてきた指導者の思いが結びついた。

 コーチを務めるのは、元大分ヒートデビルズの高倉佑貴だ。プロとして培った経験を還元したい―。その純粋な動機に加え、自身の子どもが所属していたミニバスの選手たちを「このまま終わらせたくない」という思いが背中を押した。こうして生まれたチームは、単なる受け皿ではない。競技を続ける価値を伝える場所でもある。

指導する高倉コーチ

 活動は週3回。水曜から金曜にかけて基礎を積み上げ、週末は練習試合や県外遠征で実戦を重ねる。Bリーグ関係者とのつながりを生かし、ユース世代との対戦機会も確保した。競技レベルの向上と同時に、学業との両立も重視する。テスト期間は練習を休んでも構わない。塾に通う選手も多く、「長く続けること」を最優先に据える姿勢が特徴的だ。拠点とする大分市内だけでなく、臼杵市から通う選手もいることが、このクラブの存在価値を物語る。

 高倉が見つめる現在の中学生は、かつてとは明らかに違う。動画を通じて世界のトッププレーに触れられる時代。技術レベルは飛躍的に高まっている。一方で、勝負どころで踏ん張る精神力には課題が残るという。「最後に勝敗を分けるのはメンタル」。その信念のもと、練習ではドリブルやシュートといった基礎を徹底する。夏にはあえて基礎だけを反復し、走り込みで体力も鍛える。派手さではなく、土台を磨くことで勝てる選手を育てるのである。

 目指すのは、誰か一人に依存するチームではない。その日ごとに主役が変わる集団だ。ディフェンスから流れをつくり、全員で走り、全員で得点する。そこにあるのは「全員で勝つ」という明確な哲学である。同時に、人としての成長も重視する。礼儀や練習に取り組む姿勢を含めた人間性を育てることが、最終的に競技力へとつながると考えている。

 さらに特徴的なのは、進路に対するスタンスだ。県外の強豪校を目指すのではなく、県内に残り、地元で活躍できる選手を育てる。「大分のレベルを上げたい」(高倉)という言葉には、地域全体を見据えた視点がにじむ。

チームを引っ張る浜野(右)と小笠原

 チームの空気は明るい。浜野朝陽(中学2年)は「個性豊かで元気がいいチーム。3年になったときに優勝したい。ピンチで決める選手になりたい」と語り、小笠原千洸(同)は「一人一人の意識を高めたい。自分は声でチームを盛り上げたい」と力を込める。言葉の端々に、主体性と前向きな競争意識がにじむ。

 環境が人をつくるのか。それとも、人が環境を変えるのか。LOTUS U―15はその問いに対し、明確な答えを示そうとしている。競技を続ける場所をつくることは、単なる育成ではない。地域の未来をつくる行為である。ボールを追うその先に、どんな景色があるのか。その歩みは、まだ始まったばかりだ。


(柚野真也)

大会結果