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大分トリニータ 木本真翔 初ゴールの先へ 進化する才能 【大分県】

大分トリニータ 木本真翔 初ゴールの先へ 進化する才能 【大分県】

 大分トリニータの木本真翔のシュートには、打つ前から得点の気配が漂う。ボールを受けた瞬間に間をつくり、相手の重心をずらし、振り抜くまでが速い。ただ強く打つのではない。見えている景色の中から打てる一瞬を逃さない。その感覚の鋭さが、この若きアタッカーの最大の武器である。

 強化指定選手として過ごした2年間を経て、今季ついに正式にプロとなった。開幕からメンバー入りを続け、トップ下の左右、時には1トップでも起用される。複数ポジションを任されるのは便利屋だからではない。前線のどこに置いても相手にとって嫌な「矢印」を出せるからだ。緩急あるドリブルで局面を動かし、裏へ抜ける鋭さもある。しかもシュートを打てば何かが起こる。そんな期待感を抱かせる選手だ。

 象徴的だったのは7節・琉球戦でのプロ初ゴールである。途中出場でピッチに入った木本は、決して理想的な入りではなかったという。「自分としては入りが良くなくて、なかなか自分のプレーが出せていない感覚があった」。それでも、ゴールが見えた瞬間に迷わなかった。「とりあえず打ってやろう」という思いで振り抜いた一撃がネットを揺らした。

琉球戦でプロ初ゴールを決めた木本

 その言葉は粗削りに聞こえるかもしれない。だが、そこに木本の本質がある。考えすぎて好機を逃すより、自分の感覚を信じて足を振る。コースは「少し甘かった」と本人は振り返るが、相手が密集している中でも、しっかりゴールまでボールを通してしまうあたりにシュート感覚の良さがにじむ。

 木本はファーストプレーを大事にする選手だ。試合の入りで自ら仕掛け、時にはファウルをもらい、リズムを引き寄せる。裏への抜け出しは「一番得意」と言い切り、左サイドのカットインから左右に打ち分けられるシュートの形には特に自信をのぞかせた。木本は感覚だけでプレーしているのではない。自分がどこで勝負できるかを冷静に把握している。

 1トップでもトップ下でも構わない。大学時代に経験した最前線ではポストプレーにも自信を持つ。どこで起用されても結果を出したいという欲がある。その根底にあるのは、ポジションを奪いたいという野心よりも、チームの流れを変えたいという責任感だ。琉球戦でも「自分が流れを変えるという強い気持ちで入った」と明かした。連敗中のチームにあって、自らの一撃で空気を変えようとする姿勢は、数字以上の価値を持つ。

ゴールを量産したいと意気込む

 周囲の評価も高い。四方田修平監督は「積極的なプレーを見せてくれた。いい働きをしてくれた」と認めつつ、「全体のアベレージをもっと上げていかなければいけない」と成長を促す。DF戸根一誓も「ポストプレーもでき、抜ける動き出しのタイミングもいいので、パスを出す方としては出しやすい」と話す。味方が出したくなる動きを持つこと。それは前線の選手にとって確かな才能である。

 木本は言う。「一本決めれば一気に乗れるタイプ」。その自己分析は、きっと正しい。プロ初ゴールは始まりにすぎない。持ち味はすでに十分伝わっている。あとは、その一撃を一度きりの輝きで終わらせないことだ。


(柚野真也)

大会結果