
大分トリニータ シーズン総括 戦い方を徹底できず低迷、降格危機で現実路線へ 【大分県】
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先月の全国高校総体(南東北インターハイ)で団体2連覇に輝いた別府翔青フェンシング部。個人フルーレで兄妹チャンピオンが誕生した。団体男子チームの絶対的エースであり、これまでに多くの大会で好成績を収めてきた上野優斗(3年)と、その妹の優佳(1年)。共に決勝の舞台まで順調に勝ち上がり、ラストは劣勢をはね返す大逆転で劇的な勝利を収めた。同種目での兄妹優勝は大会史上初めての快挙となった。
男女同時にスタートした決勝戦で先に勝負を決めたのは優佳。「苦しい戦いになったが、悔いは残したくない。最後まで攻める気持ちを忘れずに戦ってよかった」と試合を振り返る。ラストゲームの相手は、高校フェンシング界で無類の強さを誇る和歌山北3年の東晟良(あずませら)。1年生ながら全国トップクラスの実力を誇る優佳でさえ、これまでに一度も勝ったことのない相手だ。しかし、必ず超えなければならない壁でもあった。
個人フルーレで全国の頂点に輝いた上野兄妹
兄・優斗は、激しい攻防の中で相手のマスクが腹部を直撃するというアクシデントに見舞われてしまう。劣勢に追い打ちをかけるまさかの事態。試合は一時中断し、敗戦の2文字がエースの頭をよぎる。しかし1・2年時に出場したインターハイで、あと一歩でメダルを手にすることができなかった悔しさを今年こそ晴らしたい。その一心で自分自身を奮い立たせた。「正直、試合後半の記憶はあまり残ってなくて。気持ちだけで相手に向かっていったというか…」。優斗の興奮冷めやらぬ言葉に、熱戦の様子が浮かぶ。共に激闘の末に勝ち取った勝利。勝因は、最後まで諦めない気持ちだった。苦しい場面で勝利への執念を維持できるのは、長い間培ってきた技術あってのことだろう。
絶対的エースと呼ばれる兄の背中を追い、この春入学した優佳。別府翔青には大分の高校フェンシング界をリードする3年生トリオがいた。「身近な環境にレベルの高い先輩選手がいて、その中で自分がフェンシングを学ぶということは、日々大きな刺激になっている。これからは今以上にスピードや技術力を強化し、日本と言わず、世界の選手をお手本にして競技に取り組んでいきたい。国体でもいい結果を出せるよう頑張りたい」。上野兄妹の快進撃を、国体の舞台でも楽しみにしておこう。
1年生ながら大きな志を持ち、競技に取り組む上野優佳
フェンシングとの出会いは競技者だった両親の影響。物心ついた頃から2人の競技人生はスタートした
(塩月菜央)
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