ジェイリースFC 準備は整った JFL初挑戦 【大分県】
サッカー
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新指揮官に田中博監督を迎え、新たなチームづくりを進めるヴェルスパ大分が、間もなく開幕戦を迎える。8月末に開幕するJFLリーグに先立って行われる短期決戦「JFL CUP」である。田中監督が掲げるのは「ボールを大事にするサッカー」。後方から丁寧にパスをつなぎ、主導権を握るスタイルだ。理想を現実に変えるため、チームは練習試合を重ねながら着実に準備を進めてきた。
もっとも、理想だけで勝てるほどJFLは甘くない。堀内省吾強化部長は今季の編成について「力のある選手を入れた」と語る。特に前線には、結果を出せる選手を配置した。得点という最も明確な結果が求められるポジションに、確かな武器を置く。その象徴が高沢優也である。
ザスパ群馬を皮切りに、大分トリニータ、アルビレックス新潟などJ1からJ3まで複数のクラブを渡り歩いてきたストライカー。実績と経験を兼ね備えた存在だ。高沢は今回の加入について「Jリーグに残りたい気持ちもあったが、大分の地でJFLからJリーグを目指す挑戦に魅力を感じた」と語る。かつてプレーした縁のある土地に戻り、再び上を目指す。その決断には、自身のキャリアをもう一度押し上げたいという覚悟がにじむ。

チームに加わって感じたのは、前向きな空気だった。「雰囲気はすごくいい。技術の高い選手も多いし、掲げている目標は達成できるんじゃないかと思う」。ストライカーとしての役割も明確だ。得点である。「このチームには点を取れる選手がそろっている。その中で自分もしっかり結果を出さないといけない」。ゴール前の迫力こそ、自分の存在価値だと理解している。
2月にはキャリアの節目となる30歳を迎えた。「最初に大分に来た時は22、23歳。若手だった。でも今は引っ張ってもらう立場ではなく、引っ張る立場」。移籍を重ねた経験が、その意識を育ててきた。どのチームに行っても、年齢と役割は確実に変わっていく。それを受け入れ、役割を担う覚悟がある。
とはいえ、このチームには金崎夢生や福満隆貴といった実績十分のベテランがいる。だが高沢は必要以上に距離を置くつもりはない。「尊敬はしているけど、気を使いすぎるタイプではない」。その自然体の姿勢がチームの潤滑油になる。若手の中には遠慮する選手もいるが、「言いたいことがあるなら僕を経由してでもいい」と笑う。ベテランと若手をつなぐ存在になろうとしている。
戦術面でも、高沢の特徴が生きる可能性が高い。田中監督が目指すのはボール保持を軸にした攻撃的なスタイルである。高沢も「攻撃にエネルギーを使うチーム。うまくハマれば得点は量産できる」と手応えを口にする。左足の鋭いシュート、独特のリズムで相手を外す動き、そして空中戦の強さ。田中監督は「トップ下や2列目、サイドなど、さまざまな形で共存できる」と評価している。JFL CUPはその可能性を試す舞台になる。

ただし、開幕戦からの出場は微妙な状況だ。現在はコンディションが万全ではなく、慎重に状態を見極めながら調整を続けている。ピッチに立つ時期はまだ流動的だが、焦りはない。ストライカーにとって重要なのは、最も必要とされる瞬間に最高の状態で立てるかどうかである。
特別レギュレーションの半年リーグを「準備の時間」と捉える。「昇格も降格もないリーグで難しさはある。でも監督のサッカーを構築する期間としてはいい」。チームの目標は「7勝2分」。そして個人としての目標は、ただ一つだ。ゴールを積み重ねること。
「ファンにはゴール前での迫力、得点に絡むプレーを見てほしい」。言葉はシンプルだが、ストライカーのプライドが込められている。コンディションが整い、背番号9がピッチに戻るとき、ヴェルスパ大分の攻撃は新しい形を見せるかもしれない。新体制の船出を彩る一撃が、今まさに準備されている。
(柚野真也)
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