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全国高校選抜大会出場校特集 ハンドボール男子 30点取られても31点で勝つ これが大分高スタイル 【大分県】

全国高校選抜大会出場校特集 ハンドボール男子 30点取られても31点で勝つ これが大分高スタイル 【大分県】

 昨年に続き地元開催となる全国高校ハンドボール選抜大会(24〜29日)に出場する大分。県代表2位として挑んだ九州地区大会、初戦で対峙したのは福岡の強豪・祐誠だった。組み合わせが決まった瞬間、田中宗治監督はこの一戦が最大の山場になると直感したという。相手は前年とほぼ同じ主力が残り、練習試合でも何度も接戦を演じてきた相手だった。

 「ここを勝てば全国選抜の可能性はかなり高いと思っていた」(田中監督)。その言葉通り、大分は初戦にすべてを懸けた。選手たちは1点を争う激戦を制し、勢いに乗った。2回戦も突破し、続く5・6位決定戦では大分雄城台を24―18で下した。

 ただ、この大分雄城台戦は地元開催のため、勝敗に関わらず両校の全国選抜出場が決まる一戦でもあった。すでに代表権を手にしていた状況で、田中監督はあえて選手たちに判断を委ねる。「今日はお前たちに任せる」。その言葉に応え、選手たちは最後まで勝利を追い求めた。気持ちを緩めることなく戦う姿を見て、田中監督は「思った以上に本気で勝ちにいっていた。このチームはまだ強くなろうとしているんだ」と感じた。

好セーブで勝利に導く高山

 今年の大分の最大の特徴は守護神の存在だ。ゴールを守る高山裕飛(2年)の出来が試合の流れを左右する。田中監督は言う。「キーパーの調子で10点くらい変わる試合もある」。高山が放つセーブは単なる防御ではない。流れを変える起点である。守備で生まれた勢いを攻撃へと転化し、チーム全体で得点につなげていく。これが大分の基本スタイルだ。

 チームには突出したロングシューターはいない。だが、それを弱点とは捉えていない。むしろ攻撃スタイルを貫くための武器である。ボールをつなぎ、全員が動き、さまざまな位置から得点を奪う。「30点取られたら31点取って勝つ」。田中監督は笑いながらそう語る。泥臭く走り、粘り強くつなぎ、最後は攻め切って得点する。徹底して攻撃を貫く、大分らしいハンドボールだ。

 攻撃の中心を担うのがRB(右45)のサウスポー伊野桜太(2年)だ。178センチの長身と鋭いスピードを生かし、ディフェンスの隙間を切り裂く突破力を持つ。1年時から国スポの県選抜メンバーに名を連ねる逸材であり、相手守備は自然と伊野に集中する。以前は複数人に囲まれても強引に突破を試みる場面が多かったが、最近は状況判断が格段に向上した。守備が寄ればパスを出し、仲間の得点を引き出す。相手監督が「パスを出されたら守れない」と漏らすほど、プレーの幅は広がっている。

攻撃的スタイルで勝利を目指す

 もう一人、欠かせない存在がキャプテン七條輝晏(2年)である。九州地区大会でチーム最多得点を重ねた。中学時代はポストプレーヤー。高校でセンターに転向し、攻撃の司令塔として成長を遂げた。練習後も何時間もコートに残り、シュートや動きを磨く努力家である。

 派手なスターはいない。だが、守護神のセーブ、エースの突破、キャプテンの献身、そして全員の走力と連係が重なり合うとき、大分は驚くほどの破壊力を生む。全国高校選抜大会は大分開催。地元の声援を背に戦える特別な舞台である。田中監督は静かに言葉を続ける。

「大分高校の名を全国にとどろかせたい」。走る。つなぐ。泥臭く勝つ。30点取られても、31点取り返すスタイルで戦い抜く覚悟だ。


(柚野真也)

大会結果