大分トリニータU―18 佐藤 隼人(大分東明2年) file.907
サッカー
NEW!
今季からJFLに参戦するジェイリースFCは、いま確かな輪郭を帯び始めている。九州リーグ、全国地域サッカーチャンピオンズリーグを勝ち抜き、ようやくたどり着いた舞台。だが、クラブの視線は「到達」ではなく、その先にある。今季のスローガン「READY SET SAIL」が示す通り、JFLという新しい舞台で自分たちの力を示す戦いが始まろうとしている。
今季の陣容は33人。山田将之、岩岸宗志ら実績ある即戦力に加え、大卒新人4人を迎えた。補強の軸にあったのは、単なる戦力の上積みではない。永芳卓磨GMが強調したのは、年齢構成の見直しと競争の活性化である。これまでのジェイリースFCは、地域リーグで勝ち抜くための強さを磨いてきた一方で、年齢層の高まりという課題も抱えていた。強度、稼働率、将来性。そのすべてを見据えたとき、若い血を入れる必要があった。
JFL昇格は、その課題を解決する追い風にもなった。地域リーグ時代には届かなかった大学生たちが、「ここで結果を出し、さらに上を目指す」という現実的なルートとしてジェイリースを選ぶようになったからだ。社員選手として社会人の基盤も築ける環境、整備された施設、そして何より「ジェイリースはいいチームだ」という積み重ねてきた評判。それらが重なり、クラブは新たな人材を呼び込める場所になった。

補強は的確である。守備の課題を埋める存在として期待される山田将之は象徴的な存在だ。永芳GMが「ディフェンスのリーダー」と呼ぶ通り、経験に裏打ちされたコーチング、統率力、安定感は、最終ラインに落ち着きをもたらす。単に守れるだけではない。後方からビルドアップに関わり、全体を整える力がある。プレシーズンの段階で、その違いはすでにチームに浸透し始めている。前線では岩岸宗志や池田柚生が新しい推進力となる。JFLの舞台で相手を押し込むためには、多面的な前線の選手が不可欠である。
そして、このチームの芯を形作るのは柳川雅樹監督だ。就任3年目。選手の特徴を探りながら土台を築いた時期を経て、いまは目指すサッカーを明確に打ち出せる段階に入った。「攻撃的に、前向きに」。その言葉は抽象論ではない。高い位置からボールを奪い、相手ゴールへ矢印を向け続ける。守備に回っても受け身にはならず、主導権を奪い返しにいく。JFLではまだ多くない、その能動的なスタイルを貫こうとしている。

だからこそ、クラブは「昇格できた」で終わらない。柳川監督は、残留を目標にした瞬間に成長は止まると言い切る。今季は8月末のリーグ戦が始まる前に、特別レギュレーションの短期決戦「JFL CUP」が東西8チームずつのリーグ戦を経て、各グループ1位同士、2位同士でホーム&アウェイの2回戦を行い、1位~4位までを決定する。目指すのは4位以内、決勝ラウンド進出、さらに天皇杯本戦出場。その言葉には、新参者らしい遠慮はない。むしろ、地域リーグで味わった厳しさを知る者だけが持てる、リアルな覚悟がにじむ。
若返った陣容、経験ある支柱、明確なスタイル、そして上だけを見据える野心。新体制のジェイリースFCは、守りに入るチームではない。JFLに名を連ねたことをゴールにせず、ここから何を示すかに価値を置く集団を目指す。
(七蔵司)
地区を選択
学校名を選択