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大分トリニータ 序盤戦総括 四方田体制 5試合の輪郭 【大分県】

大分トリニータ 序盤戦総括 四方田体制 5試合の輪郭 【大分県】

 開幕から1カ月。大分トリニータは、確かな手応えと同時に課題も抱えながら序盤戦を戦っている。昇格請負人と称される四方田修平監督を迎えた新体制は、「湧き上がるサッカー」を掲げてスタートした。新戦力の融合と新戦術の浸透――。どのチームにとっても避けて通れないこの二つの課題に、大分も真正面から向き合っている。

 ここまでの成績は4勝1敗(勝ち点11)で西B組2位。完成度という意味では発展途上である。それでも序盤戦としては十分に評価できるスタートだ。特に際立つのが守備の安定感だ。5試合で喫した失点は3。4試合でクリーンシート(無失点)を達成し、GKムン・キョンゴンを中心とした守備陣が粘り強くゴールを守っている。

 押し込まれる時間帯があっても崩れない。背景にあるのは、前線からの守備意識の共有と、ボールを大切にする姿勢だ。ムン・キョンゴンは「走ること、球際で負けないことをみんなが心掛けている」と語る。基本を徹底する姿勢が、失点の少なさに表れている。

 もっとも、四方田監督自身は決して満足していない。「5試合を振り返ると、狙いとすることが全くできなかった試合はない。ただ、その回数をもっと増やしたい」。相手の戦い方を分析しながら、選手がどんなプレーを選択できるかを見極めている段階だという。新しいサッカーを浸透させる過程にあることを強調する。

チームに情熱を注ぐ四方田監督

 その方向性を象徴したのが、3節の鳥取戦だった。ボールを奪ってから17本のパスをつなぎ切ったゴールは、四方田サッカーの理想形に近い。前線にボールが入ると、周囲の選手が一斉に距離を縮め、テンポよくパスを交換する。攻守が連動するその姿は、まさに「湧き上がる」サッカーの断片だった。

 一方で、4節の熊本戦では3失点を喫した。試合内容にはまだ揺らぎがある。だからこそ、5節鹿児島戦での無失点は価値があった。四方田監督は「チャレンジ&カバー、セカンドボール、クロス対応がよかった。集中して声を掛け合っていた」と守備陣を評価する。PK戦までもつれた試合を制し、勝ち点2を積み上げたことも大きい。「PK戦に勝って勝点2を取るのと、負けて勝点1では大きく違う」と語った。

 守備の安定に加え、攻撃に新たなリズムを生み出しているのが清武弘嗣である。開幕から5試合すべて途中出場。それでもピッチに入ると、流れを変える存在感は際立つ。第3節では復帰後初ゴールを記録した。

 清武は自分の役割を自覚している。「途中から出た選手の特権。残り20分、25分なら元気に動ける。そこでリズムを変えるのが役割」。限られた時間だからこそ、ピッチに入った瞬間からゲームの温度を変える。ポジションに縛られず動き、味方との距離を縮め、停滞しかけた攻撃に呼吸を与える。ボールの受け方、味方との距離の取り方、判断の速さ。その一つ一つのプレーが、周囲の基準を引き上げる。清武の存在は、単なる途中出場の切り札ではない。試合の流れとチームの成熟を同時に前へ進める触媒なのである。

5試合3失点に貢献したペレイラ

 DFペレイラも言う。「いい内容ではなかった試合は多いが、無失点が多いのは大きい。連敗は絶対にしてはいけない」。勝ち方を覚え始めているチームの言葉だ。

 まだ完成形ではない。だが、試合ごとに学びは増えている。選手の特徴を見極めながら戦い方を磨く四方田体制の大分は、確かな土台を築きつつある。序盤5試合は、その第一歩にすぎない。次の試合で、どんな「湧き上がり」を見せるのか。シーズンは、まだ始まったばかりである。


(柚野真也)

大会結果