県高校野球選手権 投手陣でつかんだ優勝 柳ケ浦、接戦制し夏へ弾み 【大分県】
野球
明豊高校センバツ準優勝特集③ 幸修也主将 大舞台で味わった悔しさを成長の糧に
「史上最弱チーム」と言われたチームのキャプテンとして、「勝つために何ができるか」を突き詰め、チームを引っ張る幸修也(3年)。厳しい練習を重ねた冬を越え、第93回選抜高校野球大会では勝負強さを発揮し、決勝までたどり着いた。決勝戦での最後のプレー。強い打球に飛びつき、グラブに当てたボールは無情にも中前に転がった。「あの感触が今も残っている」。あと半歩踏み出せなかったか、まだできたことがあったのではないか。「やり残したことがある」との思いが、夏の夢舞台に向けての第一歩となっている。
選抜高校野球大会の5試合でチームの失策はゼロ。堅実なプレーで守り勝つ野球が「自分たちの代のスタイル」と語る幸。遊撃手として鉄壁な守備を見せ、打撃では主に2番として起用され、つなぎの野球を体現した。「みんなに信頼されるキャプテンとして結果を出すことが大事。チームとしても、個人としてもこだわっている」。日本一に懸ける思いは人一倍強い。
深紅の準優勝旗を持ち帰って1週間。幸が発信し、選手だけのミーティングを開いた。副キャプテンの京本真(同)と簑原英明(同)が自分たちに足りないものを語り、それぞれの思いを包み隠さず話し合った。夏の全国高校野球選手権大会に向けてリセットすることで一致し、24日から開幕する九州地区高校野球大会に向けて、幸は「九州王者になるぞ」と呼びかけた。
危機感を持って練習に励む
センバツ準優勝は大きな自信になったことは確かだが、「このメンバーで夏の甲子園に出たとしても成長はない。最高で準優勝になるのがやっと。日本一になるためにはチーム内で競争しなければいけない。もちろん自分だって定位置があるとは思ってない。危機感しかない」。練習では大きな声を出して仲間を鼓舞し、一瞬たりともプレーがおろそかにならぬよう集中力を切らさない。
その原動力は「選抜高校野球大会でやり残したことがあるから」と語る。優勝した東海大相模(神奈川)との差は紙一重だったが、一つ一つの差が積み重なれば、最終的に大きな差となる。幸はその“差”を痛烈に実感している。「2番を打つことが多く、チームの役割として中軸につなぐことを徹底した。四球で塁に出ることもあったが、その中で甘い球はあった。自分が仕留めるという意識があれば打っていたはず。つなぐことも大事だが仕留める打者になりたい」。準々決勝の智弁学園(奈良)戦では、先頭打者本塁打でチームに勇気と勢いを与えた。「ホームランは出来過ぎだった」というが「チームを引っ張る打者でありたい」との思いは強くなった。
同じ別府市出身の今宮健太(ソフトバンク)に憧れて野球を始め、今宮と同じ明豊に進み、同じユニフォームを着て甲子園の舞台に立った。幸が幼い頃に今宮を見て「甲子園で輝く姿」を目に焼き付け、野球に打ち込んだように、「今度は自分が見本となれるように」と感じている。快進撃を続けた選抜高校野球大会を終え、地元の友達から「勇気をもらった」との連絡が何よりもうれしかったという。「勝負の神は細部に宿る」と、学校ではトイレ掃除を率先し、学校から練習グラウンドまでの道中のゴミを必ず拾うキャプテン。その姿は模範となっている。
攻守でチームを引っ張る幸修也
(柚野真也)