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ダイヤの原石たち テニス男子 日本一の先に世界への扉がある 太田周(大分舞鶴2年) 【大分県】

ダイヤの原石たち テニス男子 日本一の先に世界への扉がある 太田周(大分舞鶴2年) 【大分県】

 昨年、太田周(大分舞鶴2年)のテニスは確かな進化を遂げた。10月の国スポ少年男子で優勝し、11月の第46回全日本ジュニア選抜室内選手権シングルス男子でも頂点に立った。日本一を経験したことで、見える世界は確実に広がった。もともと「攻撃力が魅力」と評されてきたが、その本質は派手なショットではない。勝負どころで自分のプレーを出し切れる強さを身に付けたことこそ、この1年の大きな成長である。

 宇野敦也監督は言う。「持ち味の攻撃力を試合で発揮できるようになった」。好調時だけではなく、ブレークポイントやマッチポイントで同じ選択ができるかどうか。太田はその境地に一歩踏み込んだのである。だからこそ宇野監督は次の目標を示す。全国高校選抜個人戦優勝。その先にUSオープンジュニアがある。「もう一段階上を目指してほしい」。それは期待であり、覚悟を問う言葉でもある。

勝負強さを身に付けた太田

 団体戦に目を向けると、太田は課題を隠さない。九州選抜大会は3年生が抜け、これまで取れていたはずのポイントが計算できなかった。ダブルスは1年生の出場が増え、勝ち切る難しさが表に出た。自身もシングルスで敗れた。「普段なら勝てる相手だった」。その悔しさの内側に、キャプテンとして背負う責任がある。「この代で優勝しないといけない」。自分で自分にかけた圧が、ラケットをわずかに重くした。

 だが、その敗戦は下を向くための材料ではない。むしろ、チームの現在地を知るための試金石だった。団体戦は1人では完結しない。流れを呼び込み、次のコートへとつなぐ連鎖が求められる。だからこそ太田は、自らが最初にポイントを取る存在でありたいと強く思った。個の力で突破するだけでなく、仲間の緊張をほどき、背中で示す。それがキャプテンの役割だと理解した瞬間でもあった。悔しさは、責任へと姿を変え、再び全国の舞台へ向かう推進力になっている。

 キャプテン就任は全国高校総体後、九州選抜大会の直前。初めての役割だが、太田は「なるだろうな」と受け止めた。前主将は大事な場面で勝ってくれる逞(たくま)しい存在だったという。その背中が基準になった今、太田は新しいキャプテン像を掲げる。「どの試合でも勝って戻ってくる」。チームで最初に白星を挙げ、流れをつかむ。キャプテンの理想は言葉ではなく、スコアで示すものだと知っている。

 日本一の称号は誇りであると同時に、「負けられない」という緊張を伴う。だがその緊張こそが成長の裏返しである。太田はプレーの中身を変えた。ストローク主体から前へ出るスタイルへ。ボレーを織り交ぜ、主導権を握る形へ。バックハンドも磨き、弱点を減らした。武器を磨けば勝率は上がる。その実感は国内では確かなものとなっている。

見つめる先は世界で戦うこと

 しかし世界に目を向ければ、まだ距離はある。体格、経験、覚悟の質。国際舞台では簡単にポイントを奪えない。だから昼休みに筋力を鍛え、練習後に走る。体力は確実に向上した。試合終盤でも自分の攻撃力を維持できること。それは派手ではないが、世界へ近づくための礎である。

 目標は明快だ。全国高校選抜で団体日本一、そして個人戦優勝。さらにUSオープンジュニアで世界に挑む。「日本一は目の前」。その言葉に浮つきはない。むしろ、負けられない重さを知ったからこそ、太田は冷静に燃えている。キャプテンとしてまず勝つ。そこから大分舞鶴を頂へ導く。国内の栄光を超え、その先にある世界の扉を、太田は自らの一打でこじ開けようとしている。


(柚野真也)

大会結果