福徳学院高校テニス部 坪井 舞央(2年) file.900
テニス
NEW!
九州9位という順位だけを見れば、目立つ結果ではない。しかし大分鶴崎は、男子団体の九州地区大会2回戦で敗れながらも敗者復活戦で粘り、最後の一枠をつかんで2年ぶり4度目の全国選抜高校テニス大会の出場を決めた。そこには、試合ごとに積み重ねた成長と、自分たちの力を信じ始めた確かな手応えがあった。
目標はベスト8だった。ヤマ場は敗者復活2回戦の鹿児島実業戦。練習試合では0―5と力の差を見せつけられてきた相手だ。それでも今回は2本を奪った。敗戦の中に、手応えがあった。末延辰夫監督が「成長をはっきり感じた」と語る理由である。その後、9~16位決定戦へ回り、残り1枠をかけた戦いに挑んだ。熊本工業にも過去は負け越していたが、相手を想定して練ったオーダーがはまり、接戦を制した。最後は熊本第二を3―1で下し、全国切符をつかむ。ダブルスが流れをつくり、シングルス1の佐藤芳紀(2年)が確実に勝利を重ね、シングルス2、3に回った選手が粘り抜く勝利を呼ぶ布陣が、土壇場で機能した。

新チームは2年生が10人、1年生が2人と層が厚いわけではない。だが、県高校新人大会準決勝で福徳と演じた接戦が、転機となった。押される展開でも崩れず、一本を取り切る粘りを示したことで、「俺たちでも勝てる」という実感が芽生えたのである。それまでは挑戦者として食らいつく立場だった。だが、この一戦を境に、相手の名前に臆することなく、自分たちのテニスを貫こうとする姿勢が生まれた。競り合いの中でポイントを取り切った経験、ベンチと応援が一体となって流れを引き寄せた時間、その積み重ねが自信へと変わった。
エースの佐藤は、その象徴だ。どんな強豪校でも臆することはない。シングルス1で計算できる存在へと成長した。持ち味はフォアハンドからの力強いストローク。「打ち合いで最後に決め切れるようになった」と自らも手応えを語る。九州地区大会では接戦が続いたが、「チームの応援が力になり、逆転できた試合が多かった」と振り返る。エースとして背負う責任を力に変えた。ダブルスの軸を担う表谷優祐(2年)は万能型。誰とでも形をつくれる柔軟性が武器だ。シングルスでは気負うことが多かったが、ダブルスに専念してから、本来の力を発揮できるようになった。

全国での目標は明確である。「まず1勝」。過去3度の出場でつかめなかった白星を狙う。年末年始の全国高校サッカー選手権で、サッカー部が2勝を挙げた姿は刺激となった。「次は自分たちの番。番狂わせを起こしたい」。佐藤の言葉には、静かな闘志が宿る。
スター軍団ではない。だが、夏場の走り込みと徹底した反復練習で鍛え上げた土台がある。派手さはなくともラリーを粘り、一本をもぎ取る力を磨いてきた。そして何より、接戦を勝ち切った経験が、自分たちを支える芯になっている。全国の舞台を「怖い場所」ではなく「面白い場所」と思えたとき、力は最大限に引き出される。相手の実績や名前にのまれず、自分たちのテニスを貫けるかどうか。九州9位からの挑戦は、小さな番狂わせでは終わらないかもしれない。
(柚野真也)
地区を選択
学校名を選択