大分舞鶴高校テニス部 川原功聖(3年) file.847
テニス
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九州の頂点まであと一歩だった。全国高校選抜テニス大会九州地区大会の女子団体で準優勝を果たした福徳学院は、その事実以上に大きな価値を手にした。レベルの高い九州で決勝まで勝ち上がったのは実に十数年ぶり。曜日崇監督が「新チームでは優勝を目指そうと早い段階から決めていた」と振り返るように、今大会は挑戦ではなく、奪いにいった準優勝である。
決勝で壁を越え切れなかった悔しさは残る。それでも、苦しい試合を重ねるごとに結束は強まり、チームの戦う形が明確に浮かび上がった。接戦の場面で誰が流れを引き寄せるのか、劣勢でどのペアが踏みとどまるのか。コート上で交わされる一つ一つの声が、迷いを消し、次の一本への覚悟を共有していった。「目標が最後までぶれなかったことが大きい」。曜日監督の言葉通り、福徳学院は勝ち上がる過程で精神的なたくましさを身に付け、確実に地力を示した。

エース坪井舞央、キャプテン田中聖香、菅沼綾夏ら、昨夏の全国高校総体を経験した2年生が軸だ。とりわけシングルス1を担う坪井は、九州でも上位に位置する実力者。鋭いフラット系のショットで相手の時間を奪い、粘り強いラリーで揺さぶる。「まだ返ってくるのか」と思わせる執念が持ち味である。坪井自身も「優勝を狙っていたので悔しさはあるが、これまで勝てなかった高校に勝てたことは自信になった。全国でも上位を目指せる一歩になった」と前を向く。エースポジションの重圧を受け止め、「自分が流れをつかみたい」と言い切る姿に覚悟がにじむ。
団体戦のカギを握るのはダブルスである。パワーヒッターの田中を軸に、相手に差し込む強打で浮いた球を前衛が仕留める形は完成度が高い。菅沼も努力を重ねてランキングが浮上し、シングルスで結果を残している。入学当初は無名に近かった選手が、経験と鍛錬を経て柱へと成長した事実は、チーム全体の伸びしろを象徴する。

部員14人中13人が寮生活を送る環境も大きな強みだ。寝食を共にし、日常から培った一体感はジュニア時代に個別活動が中心だった選手たちにとって確かな武器となる。曜日監督は「上位シードになればなるほど、相手のシングルスは強くなる。だからこそ、まずはダブルスで確実に勝ち、試合の流れを自分たちに引き寄せることが重要だ」と語る。強豪校との対戦では、一つのポイントが勝敗を左右する。その勝負どころで計算できるダブルスの存在が、大きな武器になる。その土台となるのが層の厚さと結束力である。
「九州準優勝は通過点に過ぎない」と語る曜日監督が強調するのは技術以上に「メンタル」である。「どんなボールでも一球でも多く返す気持ち。相手より強い心を持てるか」。その言葉は、勝負の本質を的確に言い表している。九州で証明した実力と、悔しさを抱いたままの野心。次なる舞台は全国選抜(3月21日〜26日・福岡県)。1球への執念でベスト4を目指す。
(柚野真也)
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