大分東明高校ラグビー部 安藤 晴琉(2年) file.899
ラグビー
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抜群のスピードと巧みなステップワークで、相手の意表を突く。大分東明のWTB山本愛翔(あいと、2年)は、28日から埼玉・熊谷ラグビー場で行われる「第76回男子セブンズユースアカデミー合宿」に招集された。日本ラグビー協会が将来の日本代表候補を発掘・育成する強化の場であり、山本は1年時から継続して選出されてきた。世代屈指の突破力は、すでに全国レベルで認められている。
富島中学校(宮崎県)出身。より高い環境で己を磨くため、大分東明へ進学した。入学当初からフィジカルと走力は際立っていたが、勢いに頼る場面もあったという。転機は昨夏の全国高校7人制大会だった。主力として準優勝に貢献し、速さだけでなく状況判断の質が問われる舞台を経験した。スペースの見極め、味方との連動、守備の読み。7人制特有の広大なフィールドで、ラグビーの奥行きを知った。

その成果は8月の日・中・韓ジュニア交流競技会へとつながる。U―17日本代表として韓国、中国、モンゴルとの3試合すべてに先発出場し、3戦全勝に貢献した。日の丸を背負う重み、異国の選手と対峙する緊張感。国際舞台を踏んで積極性が生まれた。白田誠明監督が「良い意味で考えるラグビーができるようになった」と目を細める。
今季、新たに任されたのがキッカーという役割である。県高校新人大会決勝では5本のコンバージョンゴールを成功させた。歓声がやみ、静寂が支配する数秒間。ティーにボールを置き、深く息を吸い込む。右足を振り抜いた瞬間、白い楕円球はゴール中央を射抜く。「最初は緊張して難しかった。でも、毎日コツコツ蹴り続けるうちに上達したと思う」。高い身体能力を発揮し、得点源としての役割を果たす。

年末年始の花園(第105回全国高校大会)の2回戦・中部大春日丘戦に先発出場し、果敢に外側をえぐった。チームは勝ち上がり、3回戦で東海大大阪仰星と激突。24―28で惜敗し、ベスト16で大会を終えた。後半途中からピッチに立った山本は、鋭いステップでゲインライン突破を狙ったが、勝利には届かなかった。「すごく悔しい結果に終わってしまった」。その言葉には勝負を決め切れなかった自責の念もにじむ。
セブンズユースアカデミーは、全国から選び抜かれた才能が集う場である。白田監督は「プレーだけでなく、日頃の過ごし方や立ち居振る舞いを学んでほしい」と期待を寄せる。山本は「判断力を磨き、味方を生かせる選手になりたい」と視線を上げる。スピードは天性の武器だ。しかし、世界で戦うためには、状況を読み、仲間を動かし、試合を支配する総合力が求められる。楕円球を追いかける背中は、まだ成長の途上にある。だが、その加速は止まらない。熊谷で得る刺激を胸に刻み、再び花園へ、そして、その先の代表の舞台を目指す。
(坂本陽子)
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