ダイヤの原石たち ラグビー 花園制覇を狙う新チームの顔 吉田夏樹(大分東明2年) 【大分県】
サッカー
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静かな自信をまといながら、言葉はよく回る。よどみなく語る口調が今季の好調さを物語っている。プロ2年目。特別指定時代を含めれば大分トリニータ在籍3年目となる有働夢叶は、今季の公式戦初戦となった北九州戦でチーム初ゴールを叩き込んだ。四方田修平監督体制の幕開けを告げる一撃。それは単なる先制点ではない。停滞を断ち切り、成長曲線を描き直す宣言でもあった。

昨季はケガに苦しみ、思うように出場機会を伸ばせなかった。それでも今季、表情は明らかに違う。「昨年とはまったく違う感覚」と語る通り、プレーには迷いがない。先輩たちの「思い切りやれ」という言葉に背中を押され、のびのびとボールを受け、前を向く。怖がらずに受ける。それが有働の今季のテーマだ。
昨年までチームの中心にいた野村直輝の移籍で空いた穴。「誰が埋めるのか」という問いに、有働は逃げない。「ここに有働がいるぞ」と示すこと。それが自身の使命であると理解している。上位互換を目指すと言い切る強気さは、裏返せば責任を引き受ける覚悟でもある。ピッチに立てば年齢は関係ない。上の選手にも要求する。「言う以上は責任が伴う」。その言葉が、精神的な成熟を物語る。
北九州戦の得点は象徴的だった。榊原彗悟がパスを奪い、迷いなく前を向いた瞬間、有働のスイッチも同時に入った。足を止める選択肢はない。味方の視線と自分の動きが重なった、その刹那(せつな)に一歩を踏み出す。トラップでボールを収めると、瞬時にDFとGKの位置を確認する。わずかなズレ、わずかな隙間を感知する。積み重ねてきたイメージの結晶だった。迷いはなかった。あとは振り抜くだけ。右足から放たれた一撃は、確信を帯びてゴールネットを揺らした。
前半に決定機を逃していたからこそ、覚悟は固まっていた。「次は決める」。その責任を引き受けた瞬間、シュートは技術ではなく意思となる。あの一撃は、単なる先制点ではない。自分を信じると決めた男の成長の証明であった。

だが有働は勢い任せではない。「調子が良すぎると動きすぎてケガをするタイプ」と笑う。フルスロットルではなく、8割でいい。その自負がある。自分の良さを理解し、プレーの幅を広げ、「これもできる、あれもできる」と吸収を重ねる。清武弘嗣らうまい選手のプレーを盗み、自分の色と掛け合わせる。攻撃的MFとしての質を高めながら、プラスアルファを積み上げる作業を怠らない。技術だけではない。「偉大な先輩を超える」という強い気持ちを持ち続けること。向上心を腐らせないこと。それがブレイクの条件だと知っている。
四方田体制が掲げる主体的なサッカー。その中心でボールを受け、つなぎ、仕留める存在へ。有働はチームの攻撃時間を増やす装置となり得る。開幕弾は序章に過ぎない。「今年は右肩上がりでいく」。軽やかな語り口の奥にある確信は揺るがない。有働夢叶の2026年は、いま加速を始めたばかりだ。
(柚野真也)
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