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ダイヤの原石たち 日本一連覇を狙う柳ケ浦の3本柱 【大分県】

ダイヤの原石たち 日本一連覇を狙う柳ケ浦の3本柱 【大分県】

 日本一の称号は、過去の栄光であると同時に、次の基準でもある―。全日本高校女子サッカー選手権大会を制し、日本一に輝いた柳ケ浦は、県高校新人サッカー大会でも頂点に立った。だが、この大会が示したのは単なる結果ではない。新チームとして迎えた最初の公式戦で、「誰がこのチームを前へ進めるのか」。全国王者として、その問いに向き合う現在地が、ピッチに刻まれていた。

新チームと主軸となる3人。左から伊藤、大下、村上

 最終ラインの核を担うのが、DF伊藤白羽(2年)である。全国舞台でも通用する対人の強さと空中戦の安定感は、この世代でも群を抜く。激しくアタックに出る判断、背後を管理する視野、そして声による統率。日本一を経験したディフェンダーとして、守備の基準をピッチに示せる存在だ。昨年はU―17サッカー日本女子代表にも選出され、全国、そして国際基準のスピードと強度を体感してきた。その経験は、プレーの判断や立ち位置に確かな奥行きをもたらしている。一方で、拮抗(きっこう)した展開でこそ問われるリーダーシップは、なお成長の余地を残す。林和志監督が求めるのは、好調時だけでなく、苦しい時間帯でも周囲を引き上げられる「真のディフェンスリーダー」だ。

 前線の主役はFW村上凜果(2年)。ボールを収めて攻撃の起点となり、ゴール前では迷いなく振り切る。クロスからのフィニッシュ、ターンからのシュートと、得点パターンは多彩だ。日本一を経験したことで、追われる立場となった今季。その重圧を力に変えられるかがテーマとなる。本人が語るように、ポイントは「一人でやり切れる力」。女子プロサッカーWEリーグを見据えるストライカーとして、フィジカルと決定力の向上が、その可能性を現実へと近づける。

 そして、最も象徴的な存在が1年生DF大下紗也奈である。守備範囲の広さ、背後をカバーするスピード、最後まで食らいつく粘り強さ。センターバックとしての素材は際立つ。168センチのサイズに加え、カバーリング能力は全国基準に達しつつある。新人戦ではキャプテンマークを託され、その責任を背負った。林監督が期待するのは、プレーだけでなく、学年の壁を越えて周囲を巻き込む存在への進化だ。

新人大会では暫定ながらキャプテンマークをつけた大下

 伊藤が最終ラインの秩序を整え、村上が前線で攻撃の出口となり、大下がその背中で未来を背負う。役割は違うが、3人に共通するのは「日本一を経験した者、もしくは間近で見た者」としての自覚だ。日本一の余韻に浸るのではなく、日本一の基準を日常に落とし込めるか。女子サッカーの全国王者として、その問いは練習の一瞬一瞬に突きつけられている。

 柳ケ浦の連覇への物語は、結果ではなく過程に宿る。勝敗やタイトルでは測れない日常の質、ピッチで積み重ねられる判断と声、強度と責任。その一つ一つが、個の成長という確かな形となって現れている。連覇への歩みは、すでに始まっている。


(柚野真也)

大会結果