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ダイヤの原石たち バレーボール女子 高校生ナンバーワンの証明 重圧をも楽しむ忠願寺莉桜(東九州龍谷2年) 【大分県】

ダイヤの原石たち バレーボール女子 高校生ナンバーワンの証明 重圧をも楽しむ忠願寺莉桜(東九州龍谷2年) 【大分県】

 コートに立つと、空気が変わる。強烈なジャンプサーブがうなりを上げ、左腕から放たれるスパイクが床を叩く。その一撃に歓声が重なるたび、忠願寺莉桜(東九州龍谷2年)は周囲の視線を一身に集めてきた。ポイントを奪った直後、思わずこぼれる笑顔や、仲間とハイタッチを交わす無邪気な仕草もまた、観る者の心を引きつける。中学時代から年代別日本代表として世界大会を経験し、勝負どころで結果を残してきたが、その振る舞いに気負いはない。大舞台でも楽しそうにボールを追う姿が、自然と人を引きつける。その才能は早くから注目を浴び、東九州龍谷高校への進学は「鳴り物入り」と表現されるほどだった。

 実績は十分だ。中学3年時の2023年7月のアジアU16女子選手権ではエースとして初代王者に導き、翌年の国際大会「Nations Winter Cup」ではMVPを獲得。高校1年時には、2つ年上の姉・風来(Astemoリヴァーレ茨城)とともに地元開催の全国高校総体で3位に入り、2年時には国スポ、春の高校バレーでも表彰台に立った。だが、忠願寺の言葉は常に厳しい。「日本一にならなければ意味がない」。試合後に見せる屈託のない笑顔とは裏腹に、胸の内に宿す基準は高い。過去の栄光に浸る様子はない。

新チームではキャプテンとなった忠願寺

 期待が膨らむ一方で、重圧も増した。昨年は“高校生ナンバーワン”という評価が先行し、思うようなプレーができない時期もあった。エースの責任を一人で抱え込み、自らを追い込んだ時間。それでも、どこかでバレーボールを「楽しみたい」という原点が消えることはなかった。そこで忠願寺は立ち止まり、自分の弱さを認めた。課題を言葉にし、周囲と共有することで、再び前を向く力を取り戻した。

 新チームではキャプテンになった。責任はさらに重くなったが、「プラスの力に変えたい」と語る姿勢に迷いはない。声を張り上げて鼓舞するタイプではない。練習への向き合い方、一本への執着、苦しい場面で逃げない姿勢。日常の積み重ねで示すのが忠願寺流のリーダーシップだ。一方で、練習の合間には冗談を飛ばし、コートを和ませる一面もある。背中で示し、自然体で引っ張る。プレッシャーすら楽しみながら、個の色を失わずにチームの色へと昇華させていく。その存在感が、コートの空気を少しずつ明るく、そして強く変えている。

コートを明るく照らす存在

 身長183センチの左利き。オポジットとして得点を量産する一方で、忠願寺は攻撃専門に収まるつもりはない。レシーブ、トスにも磨きをかけ、強弱を操るスパイクと変化の読みにくいサーブで局面を打開するオールラウンダーを目指す。「どんな状況でも、いつも通りをやり切る」。大舞台でも表情を崩さず、時には笑顔で打ち切る肝っ玉こそが、スターたるゆえんでもある。強い相手に勝つために必要なのは、当たり前を積み重ねることだと知っている。

 個を主張しながら、周囲を鼓舞する。その姿勢は国際舞台で多くのエースを見てきた経験からくるものだ。ベストな選択を重ね、結果で示す。それがチームを強くすると信じている。竹内誠二監督は、その可能性をこう評する。「日本一のエースアタッカーになれる器はある。流れ星のように終わらせたくない」。勝負に厳しく、それでいてコートを明るく照らす存在。その二面性こそが忠願寺の魅力だ。

 目指す頂は明確だ。チームを日本一に導くこと。その先に、自身の価値がさらに高まることを忠願寺は知っている。天真らんまんさと覚悟を併せ持つエースは、今日もコートに立つ。次の大会、その一歩一歩が、頂点への道を照らしていく。


(柚野真也)

大会結果