全国高校選抜大会県予選 剣道女子 一体感でつかんだ勝利 柳ケ浦が初優勝 【大分県】
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全国高校剣道選抜大会の出場権を逃した瞬間、大分鶴崎のキャプテン波多野惺菜(せな、2年)は視線を落とした。女子団体の決勝リーグは3位。全国選抜出場の2枠にあと一歩が届かなかった現実が、赤く腫れた目に刻まれていた。悔しさの矛先は、誰よりも自分自身に向いている。
波多野の前に立ちはだかるのは、長く続くライバルたちだ。中学時代から競り合ってきた柳ケ浦の鹿毛心鈴(2年)、そして小学生の頃から同じチームで剣を交えてきた明豊の渡辺愛菜(2年)。進む高校は分かれたが、試合で再び剣を交わるたび、関係はより濃く、より鋭くなる。昨年11月の県高校新人大会個人戦。準決勝で渡辺を破り、波多野は頂点に立った。だが、その勝利の余韻は長く続かなかった。2人は全国選抜に出場し、自分のチームが届かなかった現実が、喜びをすぐに悔しさへと変えたからだ。

1年時から全国舞台を踏んできた波多野は、昨夏の全国高校総体で団体3位に輝いたチームの中核を担った。副将としての勝負強さは当時から際立っていた。新チームでは主将を託され、役割はさらに重みを増した。同学年は一人。下級生が大半を占める中で、技術だけでなく、言葉や立ち居振る舞いでも示すことが求められる。「以前は先輩がいて、自分のことに集中できた。今は周りを見て、声をかけて、元気を出す側」。試合前の円陣、苦しい場面での一声。その一つ一つが、キャプテンとしての責任を自覚させる。配置も副将から大将へと変わり、勝敗を背負う立場となった。「自分が決める」。その意識が、一本への執念と冷静さを同時に研ぎ澄ませている。
全国高校剣道選抜大会県予選の決勝リーグ初戦の佐伯鶴城戦。1―1で迎えた大将戦、波多野は迷いなく一本を奪い、チームに勝利をもたらした。一方で、柳ケ浦、明豊戦では自分の出番が来る前に勝敗が決した。「攻撃力の差を感じた」。その言葉には、現状への冷静な自己分析がある。

波多野の強みは、力任せではない。相手の動きを見抜く洞察力、無駄のない体さばき、状況に応じて選び切る多彩な技。洗練された間合いから放たれる一太刀は、経験に裏打ちされた総合力の結晶だ。姫野翔監督は「自分がやらなければ、という意識が強くなった。まとめる姿勢と、最後は自分が決める覚悟がある」と成長を語る。
「この負けの借りは、県高校総体で返すしかない」。個人でも団体でも、狙うのは頂点だ。2月の九州大会を経て、一本を決め切る力を磨く。その先にライバルを越える景色がある。主将として、勝負師として。波多野は、強い鶴崎を守り、さらに前へ進むために、今日も竹刀を握る。
(柚野真也)
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