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大分トリニータ 四方田修平監督 昇格請負人の再建論 【大分県】

大分トリニータ 四方田修平監督 昇格請負人の再建論 【大分県】

 大分トリニータは、新たな指揮官として四方田修平監督を迎え、新体制で始動した。13日から宮崎でトレーニングキャンプが始まった。四方田監督の言葉からは、華やかな決意表明よりも、現実を直視する冷静さと、積み上げを重んじる覚悟が強くにじんでいた。

 「日に日に実感が湧いてくる」。そう語る四方田監督は、半年ほど現場を離れていた期間を空白ではなく、充電と捉えている。久々に立つピッチには、独特の緊張感と高揚感があるという。勝負の世界に身を置く厳しさを知るからこそ、その感覚を失わずに戻ってこられたことに、確かな手応えを感じている。

 J2で3度の昇格を経験してきた実績から、「昇格請負人」という肩書きで見られることも少なくない。しかし本人は、その評価を素直に喜びながらも、「簡単じゃない」と即座に言葉を添える。過去の成功に寄りかかるつもりはない。現実として、大分はこの2年間、厳しいシーズンを過ごしてきた。その事実を曖昧にせず、まずは「昇格争いに入れる力」を付けることを最優先にする姿勢に、再建のリアリズムがある。

情熱を持って指導する四方田監督

 今季は、昇降格のない特殊なシーズンを迎える。結果への焦りが先行しがちな状況で、四方田監督は「戦える状態」をつくることを第一に掲げる。昇格を経験してきたからこそ、最後まで苦しみ抜く現実も知っている。「最後の最後まで、上がれると思えたことはない」。その言葉は、安易な期待を戒めると同時に、全力で挑み続ける覚悟の裏返しでもある。

 サッカー観も明確だ。勝つための理論、点を取るための構造、失点を防ぐための整理。戦術的な積み重ねを重視しつつも、最終的にチームを動かすのはパッションだと考える。戦う姿勢や一体感が、戦術を超える瞬間を何度も見てきたからこそ、躍動感のあるサッカーを理想に掲げる。一方で、長いシーズンを勝ち抜く現実として、守備の堅実さが不可欠であることも熟知している。理想と現実、その両立を模索する姿勢が一貫している。

 コミュニケーションにおいても、無理に色を押し付けることはしない。ただし、伝えるべきことは伝える。高いレベルを目指す以上、その要求は避けられない。戦術の伝え方も同様で、全てを預けるのではなく、まずは「絵」を示し、そこから選手が広げていく。そのバランス感覚に、長年の指導経験が凝縮されている。

理想と現実の両立を目指す

 得点力不足という課題にも、視線は未来を向く。奪いに行く回数を増やし、奪った瞬間のスペースを突く。連続して走り込むことで、チャンスの質を高めていく。その先にあるのが、監督自身が「湧き上がる」と表現するサッカーだ。温泉の街・大分と、自身の理想が重なったこの言葉は、今季のチーム像を象徴している。

 結果だけでなく、過程を重ねる。その積み上げが、やがて本当の勝負の季節につながっていく。静かな口調の中に、確かな熱を宿す指揮官のもとで、大分トリニータは再出発した。派手さはないが、確実に前へ進む。その歩みが、次なる挑戦への期待を自然と抱かせる。


(柚野真也)

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