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冬の主役たち バレーボール女子 努力で才能を研ぎ澄ます 忠願寺莉桜の現在地 【大分県】

冬の主役たち バレーボール女子 努力で才能を研ぎ澄ます 忠願寺莉桜の現在地 【大分県】

 バレーボール女子の名門・東九州龍谷(東龍)において、忠願寺莉桜(2年)は間違いなく中心に立つ存在である。182センチの左利き。中学時代から年代別日本代表として注目を集め、入学と同時にエースの座を託された。そのキャリアだけを見れば、順風満帆に映るかもしれない。しかし、その歩みは決して「才能任せ」ではなかった。

 オポジットとして放たれる左腕のスパイクは、精度と破壊力を兼ね備える。勝負どころで託された一本を沈める決定力は、東龍の攻撃を支える大黒柱だ。ただし、忠願寺の価値は得点力だけにとどまらない。レシーブやトスにも積極的に関わり、攻守両面でリズムを生み出す万能性を備えている。

高校入学時からエースとして活躍する忠願寺

 転機となったのは、今季経験した腰の負傷だった。リハビリ期間に指摘されたのは、体の使い方の甘さ。特に腹筋の弱さが故障につながっていたという。そこから忠願寺は、自らの身体と真正面から向き合った。毎日欠かさず行う腹筋トレーニング。ケアにかける時間は倍以上に増やし、「次の日に疲れを残さない」ことを徹底した。足の指を意識的に使う細かなトレーニングにも取り組み、プレーの安定感は目に見えて向上した。

 その変化は、ジャンプの質に表れている。以前は力任せだったスパイクが、今は体全体を連動させて打ち込める。力を抜いても、以前より強い球が打てるようになったという実感がある。守備面でも役割は広がった。2年生となった今季は守備にも全面的に参加し、「拾って、打つ」プレーを武器にしている。

 精神面の成長も見逃せない。1年生の頃は、エースという立場の重圧を一人で背負い込み、思うようなプレーができない時期もあった。だが今は違う。自分の弱さを認め、課題を口にできるようになった。「まだまだ足りない」。そう思えるようになったこと自体が、成長の証だ。家族との対話も支えとなっている。プレーの相談は父に、心の部分は母や姉に。身近な存在が忠願寺を支えている。

春の高校バレーで日本一を目指す

 ノーシードで迎える大舞台。相手はどこも強豪だが、忠願寺はむしろ前向きだ。どうせ最後は強い相手と当たる。ならば最初からギアを上げて戦う。そのためのルーティンも確立した。水分補給、前日の過ごし方、朝の準備。練習以上に日常生活を大切にする姿勢が、コンディションを整える。

 「才能だけで勝てる選手ではない」。そう自覚しているからこそ、努力を怠らない。長身と左利きという恵まれた条件に甘えず、器用さと積み重ねで勝負する。春の高校バレーの舞台で見せたいのは、単なる結果ではない。1年でここまで成長した姿。そして、支えてくれた家族や仲間への恩返しである。

 忠願寺はまだまだ完成形ではない。だが確実に進化の途中にいる。大舞台でさらなる成長を遂げるはずだ。


(柚野真也)

大会結果