大分東明高校珠算電卓部 入江 志帆(1年) file.886
カルチャー
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受賞が発表された瞬間、緊張がほどけ、部員たちの目には自然と涙がにじんだ。大分南高校書道部は、第34回国際高校生選抜書展「書の甲子園」で8年ぶり2回目となる全国優勝を成し遂げた。結果発表のライブ配信を、部員たちは固唾(かたず)をのんで見守っていた。
同大会の最高賞である文部科学大臣賞を受賞した高柳里緒(3年)は、「大会直前まで数えきれないほど書いたが、決め手に欠けていた。先生のアドバイスを受けて、ラスト1カ月で追い込んだ結果。すべての人に感謝したい」と、悩みを乗り越えてつかんだ栄光に笑顔を見せた。大臣賞に次ぐ大阪府知事賞に輝いた後藤明依(3年)も「結果発表で自分たちの作品が選ばれた瞬間、感情があふれた。最後まで不安はあったが、本当にうれしかった」と語る。文部科学大臣賞と大阪府知事賞を同じ高校が同時受賞するのは、大会史上初の快挙。審査員たちも驚きを隠せなかったという。

2017年に初めて「書の甲子園」で優勝した瞬間から、再びこの舞台に立つことを部員たちは待ち望んでいた。翌年も「連覇を目指せるのは自分たちだけの特権だ」と覚悟を固めて挑んだが、惜しくも準優勝に終わった。それから再び全国優勝をつかむまで、挑戦の日々が続いた。チャレンジすることに疲弊した年もあったが、「挑まなければ達成感はない」と語るのは顧問の鹿苑晋史講師だ。「毎年の目標は部員たち自身が決めるのが部のルール。歴代の先輩が残してきた勝ちメンタルを引き継ぎながら、努力してきた姿勢が実を結んだ」。毎年夏にはOBが指導に訪れ、技術やメンタル面において世代を超えて支えてきたことが今回の結果につながったと目を細める。
準大賞を受賞した藤原茉央(3年)は、「先輩が卒業する瞬間、1年後に自分は書道を辞めたくないという気持ちが強く湧いた。もっと違う分野の書を学びながら、先輩たちの歩んだ道を自分もたどりたい」と語る。大学進学後は書道専攻の道へ進む予定だ。3年間で技術もメンタルも大きく成長した部員たちは、全国の頂点に立った誇りを胸に、それぞれの次のステージへ向かう。

新部長となる 大久保杏優(あゆ、2年)は、「来年に向けてプレッシャーはあるが、1ミリも手を抜かず全力で連覇に挑みたい」と意気込む。この部の強さのひけつは「素直さと継続」。素直な心で努力を積み重ねれば、自然と結果はついてくる。そう語る鹿苑講師のもと、大分南高校書道部はこれからも自分たちの書と真摯に向き合う。
(塩月なつみ)
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