冬の主役たち サッカー男子 河野歩夢が覚醒 万能型MFへの道 【大分県】
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6年連続10回目の全日本高校女子サッカー選手権に挑む柳ケ浦は、近年、全国の舞台で確かな存在感を放ってきた。2年前の同大会3位、昨夏のインターハイ3位、そして今秋の国スポでは単独チームとして出場し準優勝。日本一は、もはや夢物語ではない距離まで近づいている。それでも林和志監督は「日本一という目標は遠すぎる。一戦必勝。その積み重ねの先にしか結果はない」と強調し、慢心を許さない。
県予選では予想外の苦戦を強いられた。絶対王者としての重圧が、選手たちの足をわずかに重くした。終了間際の得点で辛くも勝利したが、林監督は「半分の力しか出せなかった。ただ県予選はこんなもの。苦しい中でゼロに抑え、最後に仕留める勝負強さは今年もある」と語り、表情に迷いはない。
チームのスタイルは今年も「いい守備から、いい攻撃」である。守備で相手に自由を与えず、球際で粘り強く体を寄せ、プレッシャーをかけ続ける。その積み重ねが相手のリズムを奪い、主導権を握る流れを生む。今秋の国スポでは、16歳以下中心の若いメンバーが堂々の準優勝を果たし、その経験が下級生の自信と実力を一気に押し上げた。

その突き上げを受け、3年生は「自分たちが崩れるわけにはいかない」と覚悟を持って日々のトレーニングに臨み、チーム全体の競争意識は一段と高まった。センターラインに配置される3年生は、攻守のバランスをとる「太い幹」としてどっしり構え、その周りを1、2年生がスピードや勢いといった「枝葉」として彩る。この構図が、チームに安定感と爆発力の両方をもたらし、全国で戦ううえで欠かせない強さを形づくっている。
攻守の要である田淵聖那(3年)は、1年時から全国の強度を知る経験値の高い選手で、危機管理能力に優れる。松田吏真(同)はゴール前の嗅覚が鋭く、アバウトなボールでもねじ込む決定力が武器だ。守備ラインには各年代の代表候補に名を連ねる伊藤白羽、竹田美佐也(ともに2年)が並ぶ。2人は守備の安定を生み、チーム全体に安心感を与えている。

戦力は整い、残す課題は「本番で実力を発揮すること」だけだ。初戦の相手は、大谷室蘭(北海道)と尚志(福島)の勝者になる。林監督は「まずは初戦を勝ち切ること」と強調する。相手は1回戦を戦って勢いに乗ってくるが、その分、疲労もある。一方、柳ケ浦は万全のコンディションで臨める。「相手は80分間を戦い終えた後。こちらは自然体で、自分たちのサッカーを出せばいい」と選手に伝え、余計な焦りや力みを取り除く。初戦を突破するための準備は、すでに整っている。
こう着する展開ではセットプレーが勝負を決める。柳ケ浦は複数のパターンを用意し、準備は周到だ。どんな展開にも柔軟に対応し、一戦必勝を突き詰める。その先に日本一がある。
(七蔵司)
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