冬の高校スポーツ全国大会 バスケットボール男子 柳ケ浦が再起動 冬の頂点へ挑む 【大分県】
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3年連続5度目のウインターカップに挑む明豊で、いま最も「伸びている」と評されるのが平倉千春(3年)だ。観客席から見れば、豪快なドライブと力強いシュートが目を引く選手だが、そこに至るまでの3年間は決して順風満帆ではなかった。
1年時からベンチに名前を連ねながら、出場機会は多くなかった。前チームのエースと比較された時期もあり、自信を失いかけたこともある。それでも今年、最上級生となり覚悟を決めた。「自分がチームを引っ張る選手になる」。その思いを胸に、平倉はコートに立ち続けた。

杉山真裕実監督は「この1年で最も成長した選手の1人」と断言する。ボールを持った瞬間にリングへ向かう迷いのない姿勢。馬力のあるドライブ。リングへねじ込む強さ。どれも以前にはなかった主役の顔つきだ。平倉自身も「小学生の頃から得点することが好きだった」と語る。初心に立ち返り、余計な比較を捨て、「自分は自分」と割り切ったとき、ようやく点取り屋としての本能が解き放たれた。
チームは、エースでキャプテンの中島綾香(3年)がけがの影響で本調子ではない。その穴を誰が埋めるのか。明豊にとって大きな課題だった。平倉は、その現実から目を背けず、むしろ真正面から受け止めた。「これまで綾香に頼り切っていた。だからこそ、今度は私が引っ張らなければいけない」。その言葉には責任への覚悟がにじむ。
U18日清食品ブロックリーグや全国高校総体で、全国の強豪と戦った経験が平倉に確かな自信をもたらした。得点を重ねるたびに、自然とチームのボールが平倉へ集まるようになった。そして、中島がふと漏らした「このチームにはあなたが必要」という言葉。キャプテンの思いを直接受け取った瞬間、平倉の迷いは完全に消えた。

ひとたびリズムに乗れば、手のつけようがない。ドライブが決まれば、シュートが入れば、表情が変わり体全体からエネルギーが立ち上る。「調子のいいときの平倉は止められない」と杉山監督が評するのも頷ける。ウインターカップでは「平均30点がノルマ」と自らに課す。守備を強みとする明豊において、平倉の得点力はチームの命綱だ。
2年間、ベンチから先輩たちの背中を見つめ続けた。その悔しさを糧に、今度は自分が主役になる番だ。憧れの舞台ウインターカップ。平倉は、3年間の思いをすべてぶつける。
(柚野真也)
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