スター候補生インタビュー(5) 相撲 荒木颯太(楊志館3年) 「自分に負けないことがモットー」 【大分県】
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大分から関取に 田中翔盛(中津東3年)、中村部屋で踏み出す第一歩 【大分県】
記者会見場に堂々と姿を現したのは、身長174センチ、体重155キロの巨体だ。高校3年間、県内公式戦無敗。1年時には国体(現・国スポ)少年の部で5位タイ。その実績を引っ提げて大相撲の世界に飛び込むのが中津東の田中翔盛(3年)だ。来年初場所前の新弟子検査を受け、順調にいけば前相撲で初土俵を踏む予定だ。
師匠となるのは、中村部屋を率いる中村親方(元関脇・嘉風)。自らの母校から弟子を迎える親方の表情には、喜びと同じだけの決意がにじんでいた。「大変うれしいが、『ここから関取に育てる』という覚悟もある。厳しい世界で結果でしか評価されない。その世界に本人が覚悟を持って入ってくる以上、私も全力で指導していくつもりだ」
田中のことは中学時代から目をかけてきたという。「県高校総体3連覇は、私の同級生以来だと思う」と言い、「実力はもちろん、ぜひ預かって育ててみたいと思わせる素材」と評する。
何よりも評価するのが勝ち運だ。「相撲は『強い人が勝つ』のではなく『勝った人が強い』世界。実力があっても結果を残せない者もいる中で、県内無敗という数字は本当に立派。突き押しを得意に前へ出る圧力と、(相手優位に)組まれても最後まで勝負を諦めない粘り強さがある。豪快さと粘りを兼ね備えている」(中村親方)

田中の性格について問われると、中村親方は即答した。「かわいいです。人懐っこくて、なんでも自分から話せる。明るくてひょうきんで、人に愛されるタイプ。すでに部屋の力士たちからも可愛がられている」
将来像を聞かれると、「まずは関取になってもらわないと困る」と笑いながらも、「土俵で強いだけでなく、人柄も含めて多くの人から応援される人気力士になってほしい」と言葉を継いだ。
一方の田中は、憧れをまっすぐに口にする。「テレビで見ていた中村親方は、当たりが激しくて勢いとスピードのある相撲を取っていた。真正面からぶつかっていく相撲に憧れて、自分もああいう相撲を取りたいと思っていた」
中村部屋を選んだ理由を聞かれると、「力士の皆さんが優しく、同年代もいて話しやすかった」と挙げ、「親方の指導が一人一人に丁寧に届いていると感じた。この環境なら強くなれると思った」と目を輝かせた。

会見の終盤、地元・中津、そして大分への思いを問われると、表情を引き締めた。「自分が関取になって、中津、大分県を盛り上げていきたい。応援してよかったと思ってもらえる力士になりたい」
目の前の目標は「一番一番でしっかり勝つこと」。その先には「関取になる」という揺るぎない目標がある。中村親方は「幕下で3年ほど経験を積み、そこから一気に駆け上がってほしい」という青写真を描く。
大分から、そして中津から関取を―。勝ち運と人懐っこい笑顔を武器に、田中は大きな一歩を踏み出そうとしている。
(柚野真也)