大分トリニータ 竹中穣監督インタビュー 残留へ問う覚悟 ミスの本質を突く 【大分県】
サッカー
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第104回全国高校サッカー選手権大分県予選
11月16日 クラサスドーム
決勝
大分鶴崎2(2ー1、0ー0)1大分
全国高校サッカー選手権県予選決勝は、昨年と同じ顔合わせとなった。大分鶴崎と大分の再戦は、開始早々からスコアが動く。前半5分、大分がいきなり牙をむく。キャプテン岡松愁人(3年)が最終ラインの裏へ抜け出し、冷静に流し込んで先制。2年連続優勝を狙う大分鶴崎は、いきなりビハインドを背負う展開となった。首藤謙二監督は「あれは足を滑らせた事故のような失点だった」と振り返るが、ベンチから見ていたのは、そこで崩れないチームの姿だった。
合言葉は「みんなを信じて戦おう」。浮足立ちそうな時間帯を、大分鶴崎はボールをつなぐことで落ち着かせる。ボールの近くに3人が集まり、パス交換で相手の守備陣を少しずつずらしていく。今季磨いてきた“自分たちのサッカー”が、ここから表現されていく。
流れを引き寄せたのはキャプテンの一撃だった。前半21分、左CKからのこぼれ球に河野歩夢(3年)が反応する。多くの選手が慌てて足を振り抜きたくなる場面で一呼吸置き、相手の股の間に見えたわずかなコースを左足で突いた。「焦ったら見えるものも見えなくなる」。そう語る通りの冷静な同点弾であった。

勢いに乗った大分鶴崎は、さらに前へ出る。35分には2年生ストライカー山下紫凰がゴール前のクロスに飛び込み、逆転弾を叩き込む。今大会、全試合で得点を決めた決定力はチームにとって何より心強勝った。
後半は相手の勢いに圧される場面もあった。終盤、足が止まりかける時間帯もあったが、守備陣は集中を切らさない。普段なら細かくパスをつなぐ場面でも、あえてロングボールを蹴って陣形を整える。首藤監督は「ボールの失い方さえ悪くなければ問題ない」と割り切り、時計の針を進めていった。スコアは動かないままタイムアップ。2-1で2年連続で頂点に立った。
逆転劇の裏には、選手たちの成長がある。河野は昨年の全国高校選手権での悔しさに加え、今春のサニックス杯で九州選抜としてプレーした経験を糧にしてきた。「プロ内定の選手もいて、レベルの高さに驚いた。でも、自分も負けていないと思えた」と言う。ドリブルを武器とする一方で、「自分だけで仕掛けず、仲間を使うことでチームが強くなる」と意識を変えた点も、この決勝でのプレーに表れていた。

チーム全体としても、つなぐだけでなく縦パスの意識を高めてきたことが逆転勝利という形で証明された。首藤監督は全国大会の目標を「まずは初戦突破」と語る。昨年度は1勝も挙げられなかった舞台。今年は“ボールを握り、仲間を信じて戦う”サッカーで再び挑む。
(柚野真也)
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