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大分トリニータ 竹中穣監督インタビュー 残留へ問う覚悟 ミスの本質を突く 【大分県】

大分トリニータ 竹中穣監督インタビュー 残留へ問う覚悟 ミスの本質を突く 【大分県】

 リーグ戦は残り2試合。直近の2戦で連敗し、大分トリニータはいまだJ2残留を決め切れていない。上位・千葉、水戸との終盤2連戦で勝点を積み上げるために、チームは何を見直し、どこへ向かうのか。ホーム最終戦を控えた竹中穣監督に、現在地とこの2週間の取り組み、そして「ミス」と「責任」について聞いた。

――この2試合は黒星続きで、失点も増えました。どのように振り返っていますか。

 今年の戦い方、システム上、先制点が勝負の分かれ目です。それを理解したうえで、先に失点してしまったことがゲームを難しくした。さらに反省すべきは「2失点目」です。前半のうちに二つ目を取られてはいけないと共有していたにもかかわらず、札幌戦でも同じ状況を招いた。この点は大きく受け止め、今朝、選手たちとも共有しました。

――2週間のトレーニングはどのように組み立てていますか。

 日曜日にゲーム形式を入れますが、今回はより強度を上げています。選手一人一人の強度、そして「ミスをしてはいけない」という責任感を明確にすること。ダメなものはダメと、はっきり線引きしながら時間を使いたいと思っています。

練習中から的確な指示を出す竹中監督

――監督は就任以降、良い点と悪い点をかなり明確に伝えてきました。今もその姿勢は変わりませんか。

 そうですね。一見ダメに見えても、実は必要なトライだったという場面もありますし、逆に挑戦しなくなるほうが問題になるケースもあります。選手にはその違いを丁寧に説明しています。たとえば札幌戦の2失点目のシーン。ムン(キョンゴン)が天笠(泰輝)にパスを出したこと自体が悪いのではない。ミスの原因は「止める技術」「受ける前の相手との距離感の認知」。そこができなかったから失点につながった。しっかりボールをコントロールして止まっていれば、問題はなかった。GKからパスをつなぐ形はチームとして共有している戦術。だから、ミスの原因を正しく理解しないといけない。そのために、強度、守備の寄せ方、判断の質が日々のトレーニングで本当に出ているのか。根底から見つめ直す必要があると話しました。

――これは選手個々に伝えるのではなく、全員の前で共有したのですか。

 もちろん全員です。何がダメだったのかは、チームで共通理解を持たなければいけない部分です。選手もいろんな意見を持っていますし、試合中も「前半1失点で終わらせよう」という声掛けがあったことも聞いています。ただ、どのプレーが問題だったのか。その責任の所在は、はっきり示さなければならない。

――残り2試合を前に、今季を振り返る余裕はありますか。

 いや、まだ何も考えられてないです。シーズン中は自分へのフィードバックをしている余裕はほとんどありません。ただ、僕の至らなさがゲームに直結した場面も多くあります。そこは試合ごとに痛感している。相手に何をされたら崩されるのか、どう守るべきか。相手が違えば起こることも違う。だからこそ相手を読む力、予測する力がまだまだ不足していると感じます。

残留に向けて試行錯誤しながら突き進む

――コーチ時代と監督時代。選手との距離感に変化はありますか。

 僕自身はほとんど変わってないつもりです。ただ選手側は、少し構えて接しているところがあるのかもしれませんね。

――自身としては、どのように向き合っていますか。

 僕の言葉が最終決断になるので、以前より「届きやすくなった」部分はあると思います。そのぶん選手にとっては耳の痛い言葉もあるでしょうが、今はそれを言わないといけない時期です。残留へ、チーム全員が同じ方向を向くために。


 負けの原因を正しく共有し、ミスの本質と向き合う姿勢。竹中監督の言葉からは、残留争いの緊迫した状況であっても、思考を止めず、責任の所在を曖昧にしない覚悟が伝わってきた。残り2試合、トリニータがどう立ち上がるのか。すべてはこの2週間の積み重ねにかかっている。


(柚野真也)

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