グッドルーザー バスケットボール女子 悔しさを糧に進む藤蔭 次のステージへ 【大分県】
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勝者がいれば、必ず敗者がいる。だが、涙の数だけ強くなれるのもまた真実だ。悔しさを胸に後輩へ、次の自分へとバトンを渡す。勝利だけでは語れない青春が、そこにある。敗者という名の強者たち。“グッドルーザー”の言葉に耳を傾ける。
第78回全国高校バスケットボール選手権大分県予選
10月26日 三和酒類スポーツセンター
男子準決勝
大分上野丘52(9―26、6―18、19―22、18―12)78柳ケ浦
全国高校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)県予選。大分上野丘が1、2年生だけのチームで挑んだ挑戦は、予想以上に鮮やかな軌跡を描いた。2回戦から登場し、4回戦で別府鶴見丘に競り勝つと、準々決勝では第4シード藤蔭を延長戦の末に撃破。準決勝で第1シードの柳ケ浦に52―78で敗れたが、堂々たる戦いぶりで大会を沸かせた。
「ものすごく得るものが多い大会になった」と今村泰三監督は言う。楽に勝てた試合は一つもなく、常に必死に食らいついた。その中で選手たちは、敗戦の中にも確かな「前進」を刻んだ。今村監督は「強豪とやれたことが自信になる。この悔しさを糧に、新人戦に向けて走っていく」と語る。
今年のチームには、絶対的なエースがいない。だがそれが逆にチーム全体の一体感を生み出した。誰かひとりに頼るのではなく、全員がそれぞれの持ち味を出し合い、歯車のようにかみ合う。その姿勢こそが、準決勝進出の原動力となった。

ゲームキャプテンの豊田航也(2年)は189cmの長身だが、まだ線は細く、これからの成長が期待される選手だ。監督は「外でも中でもプレーできるようになれば面白い存在になる」と目を細める。1年生にも180cm前後の選手が多く、チームとしての将来性は十分だ。
キャプテンの宮成暖(2年)は、中学2年時にサッカーからバスケットボールに転向した。フィジカルの強さと瞬発力を武器に、柳ケ浦戦では留学生相手にブロックショットを決め、会場を沸かせた。「自分でもびっくりした」と笑うが、練習の成果を発揮した必然のプレーだった。留学生対策として今村監督が取り入れた「空飛び」。相手が跳ぶ前に飛ぶ技術を体現できた。
宮成は大会を振り返り、「鶴見丘戦では入りが悪く苦戦したが、準々決勝では修正して序盤に20点差をつけることができた。そこが勝因」と語る。3年生主体のチームを相手に3位という結果を残したことは、大きな自信となった。「ディフェンスから速攻につなげる速いバスケをもっと突き詰めたい」と、すでに次を見据えている。

限られた練習時間の中で、走る意識を忘れない。今村監督は「大きくても走れるチームをつくりたい」と言い切る。進学校という制約の中でも、バスケットボールへの情熱は誰にも負けない。エース不在のチームが見せたのは、個を超えた連動量と団結力だった。大分上野丘は、ここからさらに進化を遂げていく。
(柚野真也)
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