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バサジィ大分 頭脳で導く若き司令塔・陣川凌 後半戦への覚悟 【大分県】

バサジィ大分 頭脳で導く若き司令塔・陣川凌 後半戦への覚悟 【大分県】

 バサジィ大分加入4年目の陣川凌は、21歳ながらチームの主軸として攻守を束ねる。今季は日本代表の海外遠征にも招集され、名実ともにチームの顔となった。「もう若手とは思っていない。チームを引っ張るつもりでやっている」。

 現在9位と苦しい位置にいるバサジィ。前半戦は6試合勝てない時期もあったが、中断期間を経て上位から勝点を奪う戦い方を見せた。11月2日から再開するリーグ戦に向けて、陣川は「選手の半分以上が入れ替わり、連係面でかみ合わなかった。でも、今はポジティブに捉えている。後半戦は巻き返したい」と意気込む。

 今季のチームは攻撃的に変化した。ボールを保持して自分たちのリズムをつくるスタイルに、陣川は後方からバランスをとる役割を担う。「前で仕掛けられる選手を活かして、後ろから支える。ゲームメイクが自分の仕事」。フィクソとアラを兼ねる器用さも武器で、「どちらでもできる選手でいたい」と語る。

今季も主軸として活躍する陣川

 試合中は常に全体を俯瞰(ふかん)する。「使われるより使う意識。味方の位置を見ながら最適な立ち位置を取る」。試合後は映像を見て分析する徹底ぶりだ。「調子がいい時は、上からコートを見下ろしているような感覚がある」と言う。守備では体格に頼らず、タイミングと読みで勝負する。「大きい相手ほど正面からぶつからず、ボールが入る前に奪う。頭を使って守っている」。

 昨季から多くのけが人が出る中、陣川だけは出場を続けた。「週1、2回のケアと食事管理を欠かさない。体重も62キロから70キロに増やした」。増量と同時に体のキレも保ち、今が理想の状態だという。食事では糖質制限にも興味を持ち、血糖値の上昇を抑えるメニューを試すなど、自己管理にも余念がない。「まだベストな方法は模索中だけど、いろいろ試すのは好き」

常に客観的な視点で自身のプレーを振り返る

 課題は得点力。後半戦に向け、「カウンターやセットプレーで5点は取りたい」と目標を掲げる。試合を決定づける一撃を放つには、判断の速さと精度が求められる。陣川の中で“頭脳派”という言葉は、冷静さだけを意味しない。「考えるだけじゃなく、行動に移せることが大事。思ったことをすぐ表現できる選手でいたい」。

 中断明けの初戦は強豪・名古屋。「勝てば流れに乗れる。攻撃的で、見ていて楽しいフットサルをしたい」。その言葉の奥には、勝敗を超えたチームの理想がある。観る人を惹きつけるプレーでバサジィを上昇気流へと導く。若きゲームメイカーは、冷静さの奥に確かな野心を燃やしている。


(柚野真也)