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コロナ禍の高校3年生たち③  女子サッカー 加藤明星(柳ケ浦) “大分の女子サッカー”を盛り上げたい

コロナ禍の高校3年生たち③  女子サッカー 加藤明星(柳ケ浦) “大分の女子サッカー”を盛り上げたい

 新型コロナウイルスの感染拡大で次々と大会が中止となった2020年。県や、それぞれの競技独自の大会で練習の成果を発揮できた者もいれば、不完全燃焼のまま競技を辞めた者もいる。多くの高校3年生にとって想定外だった1年間を振り返り、今後はどのような道を歩むのか、「コロナ禍の高校3年生たち」と題してそれぞれのドラマをひもといた。

 

 高校最後の大会となる「第29回全日本高校女子サッカー選手権大会」への思いは強い。柳ケ浦高校に入学してすぐにレギュラーポジションを勝ち取った加藤明星(3年)。1年生の頃から国体、インターハイに出場し、個人としてはU-17日本女子代表候補にも選出された。ただ、入学当初から目標としていた全日本高校女子サッカー選手権大会の出場はなく、「やっと出場できる。高校女子サッカーで一番華やかな大会。最高の大会にしたい」と目を輝かせる。

 

 今年は苦難の連続だった。年明けに足の甲を疲労骨折し、2月の九州高校新人大会優勝のピッチに立てなかった。リベンジを喫し、リハビリに励んだところで春先には新型コロナウイルスの感染拡大の影響で部活動が休止。大好きなサッカーができない状況が続いた。7月の県独自の県高校総体の開催が決まったときは「試合ができることがありがたかった。これまで普通に試合ができていたことが当たり前じゃないと思えた」と、”毎試合が高校最後の試合”と覚悟を持って臨むようになった。

 

万全の状態で大会に挑む

 

 秋以降、思い入れの強い「背番号10」を奪い返し、ピッチに立つ。1年生の頃から背負った番号だ。「柳ケ浦の背番号10は特別。注目されるし、チームが苦しいときに状況を打開できるプレーをしたい。史上最高のプレーをしたい」とエースとしての自覚はこれまで以上だ。トリニータレディースから柳ケ浦高校に入学。多くの先輩や同級生が県外に活躍の場を求めたが、「地元大分で女子サッカーを続ける道を切り開く。大分から全国で活躍できることを証明したい」と3年間、必死でボールを蹴り続けた。今もその思いは変わらない。「大分の女子サッカーを盛り上げたい」と顔を上気させた。

 

 得点を奪うことに特化した1年時、パスを覚え、周囲を生かせるようになった2年時。今は得点も奪え、決定機も演出する「替えのきかない絶対的な選手になった」(林和志監督)。勝利への意欲を常に語る加藤にピッチで思い描くサッカーを聞くと、彼女は明瞭な声でこう答えた。「チームを勝利に導くのは得点。サッカーは点を決めなければ勝てない。自分のゴールやアシストで勝利をつかみたい。全国で柳ケ浦の名前を残したい」。疑うことなく好きなものに打ち込む加藤の瞳は澄んでいる。サッカーに対する純真さが、勝利を目指す戦いへと彼女を駆り立てる。

 

「勝利に導く得点を決める」と力強く宣言した

 

 

(柚野真也) 

大会結果