東九州龍谷高校柔道部 浜野太陽(3年) file.849
柔道
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柔道の県高校新人大会で、国東が男子団体戦を制した。全試合で1ポイントも落とさない完全優勝。個人戦でも7階級中4階級を制し、かつて全国の舞台を沸かせた古豪が再び存在感を放った。新体制を率いるのは、今年から母校で新卒採用されたOBの大杉鴻燿監督。選手たちの努力と結束を結果につなげた手腕が光る大会となった。
6月の県高校総体では準優勝。「悔しい思いをしたぶん、今回は“失点0”を目標に掲げた」と大杉監督は語る。新チームを支えるのは、大戸崚瓦(2年)、坂口桜生(2年)、河津未力(1年)ら。いずれも経験豊富、試合を重ねるごとに逞しさを増してきた世代だ。特にエースの大戸は団体戦、個人戦ともにオール一本勝ち。身長は高くないが、100キロ級に絞り、技の切れと安定感で相手を圧倒した。「オール一本勝ちは想定内。アップをいつも以上にできたことが良かった」と淡々と語る姿に、頼もしさがにじむ。

また、チーム全体の層の厚さも新チームの特徴だ。5人のレギュラーに加え、補欠2人を含めた布陣を相手の戦い方に合わせて変化させられる。「相性や戦況を考慮し、最適なオーダーを組めるのが強み。県内ではトップレベルの選手がそろっている」と大杉監督は自信を見せる。キャプテンの曽根崎一喜(2年)も「一人ひとりが活躍できた。みんなの努力が実った」と、仲間への信頼を口にする。
大杉監督が掲げる次の目標は、九州大会3位入賞だ。ここ数年、国東は団体戦で九州大会の表彰台から遠ざかっている。「全国を見据え、1回戦から油断せず挑みたい」と語る大杉監督の目には、確かな手応えが宿る。年明けには全国高校選抜の県予選が控える。「今回の優勝に満足せず、もう一度自分たちの柔道を見直す。昨年は新人戦のあと2大会で敗れた。その反省を生かしたい」。
追う立場から、追われる立場へ。プレッシャーを力に変えられるかが、古豪復活のカギを握る。大杉監督は言う。「その緊張感こそが、強くなるための原動力だ」。伝統を背負う力が、再び全国の檜舞台を目指して歩みを進めている。
かつて国東の柔道着に袖を通し、同じ道場で汗を流した大杉監督にとって、指導者として母校の名を再び全国に響かせることは、特別な使命でもある。選手たちとともに汗を流し、時に厳しく、時に笑顔を見せながらチームを導く姿に、国東柔道の新たな時代が重なって見える。選手たちはその背中から“勝つための覚悟”を学び、再び強豪・国東の名を取り戻そうとしている。
(柚野真也)

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