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ウインターカップへの道 バスケットボール女子(3) 藤蔭スピード革命 平川体制1年目の証明 【大分県】

ウインターカップへの道 バスケットボール女子(3) 藤蔭スピード革命 平川体制1年目の証明 【大分県】

 全国高校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)の大分県予選で、女子は27校が出場している。3連覇を狙う明豊を追うのは、確かな成長を見せる大分。速攻が持ち味の藤蔭、シュート力を磨く中津北も頂点を見据えて力を蓄えてきた。準々決勝から登場するシード4校を軸に、白熱の優勝争いが繰り広げられそうだ。今回は、その4校の戦力と注目ポイントを紹介する。

 藤蔭に新たな風が吹いている。チームを率いるのは、藤蔭OBの平川あいか監督。就任1年目の若き指揮官は、寮監として生活面の指導にも携わりながら、選手とともにチームをつくっている。「練習だけでなく、日常生活がコートに出ると感じている」と平川監督。自身が選手時代に受けた指導の意味を、今になって深く実感しているという。

 選手との年齢が近い分、距離も近い。練習後には「さっきの場面、どうすればよかったですか?」と質問が飛び交い、日々のバスケットボールノートに迷いや悩みが記されていることもある。「自分の考えを持って相談してくるようになった。自主性が出てきた」と平川監督は目を細める。

チームを指揮して1年目の平川監督

 この夏、チームで掲げたテーマは「スピードと正確性」だ。小柄なチームだからこそ、スピードを最大限に生かす。ただ速いだけでは意味がない。平川監督は「スピードを意識するとミスが増える。だからこそ正確性を重視した」と語る。ボールを止めず、全員が連動する速攻。藤蔭らしいアグレッシブなバスケットを完成させるため、ディフェンスからリズムをつくり出す練習を繰り返した。

 エースの大神埜乃(3年)は膝のけがに苦しんだ。長い離脱を経てコートに戻った大神のプレーには、以前とは違う落ち着きがある。かつては「自分が点を取ること」だけに集中していたが、今は周囲を見渡し、チーム全体を動かす役割を意識するようになった。「最後の大会で、自分の持っているものをすべて出したい」と語るその瞳には覚悟が宿る。

 キャプテンの松井二乃葉(3年)もまた、けがからの復帰組だ。長いリハビリ期間を経てコートに立つ姿勢は、チームの支柱そのもの。「全国に行きたい。小さい分、全員でリバウンドに行って、スピードで振り切りたい」と力強く言い切る。芯の強さとドライブの切れ味がチームに勢いをもたらしている。

スピードを生かしたハイスコアで頂点目指す

 迎えるウインターカップ県予選。平川監督は「映像を見て相手の特徴を分析している。自分たちのバスケを貫くだけでなく、相手の長所を出さない戦い方をしたい」と戦略を明かす。準決勝で対戦が予想される明豊戦では、インサイドを封じるディフェンスを徹底し、スピードを生かしたハイスコアの展開に持ち込みたい考えだ。「理想のバスケを40分間続けられれば勝機はある。3年生には、自分を信じてプレーしてほしい」

 チームの完成度は上がり、スピードと一体感が増してきた。新米監督のもとで変化を遂げる藤蔭。勢いを味方に、冬の主役へと駆け上がる準備は整っている。

(柚野真也)

大会結果

2023年度