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ウインターカップへの道 バスケットボール男子(3) 藤蔭が速さで挑む 5対5を壊す戦法 【大分県】

ウインターカップへの道 バスケットボール男子(3) 藤蔭が速さで挑む 5対5を壊す戦法 【大分県】

 「ウインターカップ」として行われる「第78回全国高校バスケットボール選手権」の県予選が9月6日、始まった。男子は39校が出場し、今月25日に4回戦、26日に準々決勝、準決勝、11月3日にクラサス武道スポーツセンターで決勝がある。
 県内の主要大会(県高校新人大会、県高校総体、ウインターカップ県予選)の結果を基に、準々決勝から第1〜4シードが登場する。今回はシード4校を紹介する。第3回は県内ベスト4の常連として地力を高めてきた藤蔭。磨き上げた攻撃スタイルで決勝進出を目指す。

 西山泰加監督が就任して4年目を迎えた藤蔭は、県内の主要大会でベスト4常連の位置を確立してきた。だが、その先には長身留学生を擁する柳ケ浦、別府溝部学園という2強が立ちはだかる。藤蔭が打ち立てた信条は「5対5をつくらない」。速攻で主導権を握る、唯一無二の“走るバスケ”だ。

 夏の強化期間、西山監督は「新しいことより質の追求」と語った。ボールを奪った瞬間、全員がリングへ走る。5対4、あるいは4.5でも構わない。アウトナンバー(数的有利)を作り出し、一瞬のズレで仕留める。セットオフェンスで分が悪くても、スピードで勝負できる力を磨いてきた。「マイボールの瞬間に、全員がシュートを狙うチーム」を掲げ、秋までに3年生の安定感と下級生の台頭が際立った。

速攻に磨きをかける

 もともと藤蔭はシュート数の多い攻撃的なチームだ。だが今季はさらに磨きがかかった。西山監督は「攻撃的であることこそ私たちのアイデンティティー」と語る。シュートの本数だけでなく、打ち切るメンタリティーを全員に浸透させた。試合の流れがどうあろうと、迷わず打ち切る。そこに、自分たちのスタイルへの信念がある。

 ウインターカップ県予選で順当に勝ち上がれば、準決勝で柳ケ浦と激突する。堅守でロースコアを得意とする強豪に対し、西山監督は「点の取り合いに持ち込みたい」と狙いを明かす。自信のある3ポイントや走りながらのシュートでこそ藤蔭の真価は発揮される。試合のテンポを握れれば、互角以上に渡り合える手応えがある。

 チームの要はキャプテンの吉田陽汰(3年)。入学当初から試合に出場し続け、今も“ベンチから出てくるエース”として存在感を放つ。西山監督が重視するのは、シックスマン(6番手)の爆発力だ。「吉田がいるからスタートの5人が思い切りプレーできる」と絶大の信頼を寄せる。

 もう一人のキープレーヤー南翔佑歩(3年)も忘れてはならない。中学時代は無名だったが、努力を重ね、外角のシュートに加えリバウンドやドライブのキレが増し、チームの得点源として成長を遂げた。

 「5対5をつくらない」。それは、弱点を補うための戦略であると同時に、藤蔭スタイルでもある。挑戦者として迎えるウインターカップ県予選を前に、西山監督は言う。「私たちの速さで勝負できる時間帯が必ずある。その一瞬を逃さず、全員で走り抜く」。風を切って走る藤蔭の速攻は、きっと会場の空気を変えるはずだ。

藤蔭スタイルで2強の壁を打ち破る


(柚野真也)

大会結果

2023年度