
大分トリニータ 未来を見据える野村直輝の視線 【大分県】
サッカー
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全日本高校女子サッカー選手権で日本一を目指す柳ケ浦に、頼もしい存在がいる。Uー17日本代表候補の伊藤白羽(さわ、2年)と、Uー16日本代表候補の竹田美佐也(2年)。いずれも最終ラインを担うDFで、鉄壁の守備を支える2人の力がチームの躍進に直結している。
代表の舞台で得た経験は、彼女たちを一回りも二回りも成長させた。伊藤は「通用する部分としない部分がはっきり分かった」と語る。1対1の守備やロングフィード、空中戦では手応えを得た一方で、ビルドアップ(攻撃の組み立て)の判断は課題として突きつけられた。代表合宿で味わった高い強度とスピードが、日々の練習における意識を一段と引き上げている。「練習からパスのスピードを意識するようになった」と語る姿には、将来は日本代表としてワールドカップ出場という夢を真剣に見据える決意がにじむ。
一方、竹田はUー16日本代表として初めて日の丸のジャージを着た、国内キャンプで自らの武器を示した。左足から繰り出すロングキックの精度と飛距離、そして女子選手では珍しいロングスロー。どれも竹田の存在感を際立たせるものだ。「アピールできた」と手応えを得た竹田は、国スポにも2度目の出場を得たし、試合経験を積んでいる。高校入学当初から公式戦に出続ける実績も、竹田を一層たくましくしている。「国スポでは初戦を突破して、目標のベスト4に進みたい」と言葉に力を込める。
伊藤と竹田、タイプは異なるが互いを刺激し合う関係にある。伊藤の持ち味は高い身体能力とカバーリング、竹田は正確なロングフィードで攻撃の起点をつくる。二人が並び立つ最終ラインは、柳ケ浦の最大の武器となっている。守備の安定感はもちろん、ビルドアップやセットプレーにも厚みをもたらし、チーム全体を押し上げる存在となっている。
練習では、代表で体感したスピード感や強度を持ち込み、周囲を自然と引き上げている。2人が発するプレーの「伝染力」は、選手全員の意識を変え、チーム全体の底上げに直結している。全日本選手権予選を前にしたチームの雰囲気は、これまで以上に引き締まっている。
ともに将来の目標は「なでしこジャパン」でのプレー、そしてワールドカップ出場だ。大舞台で積み上げた経験を武器に、まずは高校日本一の座をつかむことが当面の使命となる。守備の要である2人の存在が、柳ケ浦をどこまで押し上げるのか。全日本選手権のピッチで、その答えが示される。
(柚野真也)
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