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全国高校サッカー選手権県予選特集(7) 大分工業 波を力に変え最後まで走り抜け 【大分県】

全国高校サッカー選手権県予選特集(7) 大分工業 波を力に変え最後まで走り抜け 【大分県】

 高校サッカーの集大成となる全国高校選手権大分県予選が、いよいよ10月18日に開幕する。36校34チームが出場し、1回戦から熱戦が繰り広げられる。大分鶴崎が頭一つ抜けた存在として優勝候補筆頭に挙がるが、挑戦者たちも大舞台を目指し闘志を燃やしている。果たして冬の切符を手にするのはどこか。本特集では、その主役候補となるシード8校を余すことなく紹介する。第7回は守備と走力の強化を掲げる大分工業。安定感を欠きつつも、勢いに乗れば一気に流れを変える爆発力を秘めるチームだ。

 課題として「守備力」と「走力」の強化を掲げ、大分工業は1試合を全力で走り切れるチームづくりを目指してきた。だが、OFAリーグ後期は3試合未勝利と苦しみ、理想にはまだ届いていない。もっとも、技術の高い選手が多く、勢いに乗れば一気に台風の目になれる爆発力を秘める。好不調の波はあるが、精神面を高めることで化ける可能性は十分にある。

 戦力分析では攻撃力7、守備力8、組織力8、3年生力7、体力7、精神力6(いずれも10点満点)。昨年と比べると守備力や組織力は数字を伸ばした。背景には昨年から試合に出場している選手が多く、守備の構築が浸透していることがある。組織された守備は、今大会でも武器になるだろう。

 伊藤孝義監督は「いい時間帯に点数を取りきれないことが結果につながっていない」と口にする。前半は主導権を握りながらも得点できず、後半は体力の消耗から判断スピードが落ち、失点につながる。勝敗の分岐点はそこにある。夏の強化期間には部員約100人を4カテゴリーに分け、それぞれがレベルに応じた強化に取り組んだ。特にAチームは強度の高い練習を重ねたが、緩みも出る。そこで県外遠征を敢行し、異なる環境で刺激を与えることで意欲を引き出した。伊藤監督は「最後まで走り切れる体力を備えたい。高校サッカーは走れてこそ。それに守備を固めたい」と語る。

チームの一体感と走り抜く体力が課題

 突出したタレントがいないのも今年の特徴だ。だが、それは全員で戦うチームとしての伸びしろを意味する。FW村上温俊(3年)は体の強さが持ち味だが、判断や守備の貢献度、ポジショニングなど課題を抱える。それでもゴール前での存在感は大きく、仕上がり次第では攻撃の軸となる可能性がある。サイド攻撃を絡め、厚みのある攻撃をどこまで出せるかがカギとなる。

 守護神でありキャプテンの二宮拓篤(同)は「自分たちが主導権を握った時間に得点できなかった。決定力が課題。練習から熱量を持って改善したい」と力を込める。守備だけでなく、攻撃の起点としても役割を果たす姿勢を見せるリーダーがチームをまとめ上げる。

 勝負どころで決め切る力と、最後まで走り抜く体力。その二つを手にできるかどうかが命運を握る。波を力に変えたとき、このチームは大会を揺るがす存在になる。

(七蔵司)

大会結果