
国東高校バレーボール部 高橋愛海(3年) file.867
バレー
NEW!
6月の県高校総体を経て、チームが次々と動き出した。迎えるのは春の高校バレー県予選。男子は大分南、大分工業の2強が有力だが、虎視眈々(たんたん)と他校も王座を狙う。高さか、粘りか、あるいは総合力か―。大会を制し、全国への扉を開くのはどのチームか。熱戦の幕開けを前に、その行方を展望する。
近年、ベスト4に進出するも優勝争いから遠ざかっている別府鶴見丘。しかし、かつて常勝軍団と呼ばれた栄光があるからこそ、現状に甘んじるつもりはない。舞裕太監督は春の高校バレー県予選に向けて「選手に見たことのない景色を見せてやりたい」と静かな闘志を燃やしている。
県高校総体後、3年生5人が抜けて新体制となった。経験値は下がったが、攻守でチームを支えてきた主力の佐藤亮介(3年)と一宮斗真(同)が残ったのは大きい。舞監督は「佐藤、一宮に勝敗がかかっている。相手チームにこれはもう止められない、手に追えないと思わせる存在になってほしい。2人を信じている」と期待を寄せている。
もちろん、勝つために残った2人の覚悟は誰よりも強い。「県総体では苦しい局面で最後の1点を取り切れなかった。今回はチームを引っ張って、優勝を目指す」(佐藤)、「ただ打つだけでなく、コースなど最も効果的な選択を考えながら戦う必要がある。自分たちのスタイルを体現したい」(一宮)と真っ直ぐに優勝の2文字を見据えている。
ただ、確実にマークされる2人頼りでは勝てない。現在は、下級生の力の底上げを行いながら、全体のレベルアップを図っている最中だ。夏の強化期間には全員で体力トレーニングに励み、体を鍛え上げた。その成果はジャンプ力向上など一人一人に目に見える形で表れており、チーム力は着実に向上している。
佐藤、一宮を支える下級生の筆頭がセッターになって1年ほどの井上勇人(いさと、2年)。セッター経験者の舞監督が徹底してスパイカーを信じる“セッター心”を教え込んできた。チーム内での密な対話が生んだ信頼関係は、技術以上に大きな武器となるはずだ。井上も「セッターになっていろいろ教わり、世界が広がった。最初はプレッシャーに押しつぶされそうだったが、技術面、精神面、考え方など少しずつ成長できていると思う」と手応えを口にする。普段はおっとりしているが、コートに立てば強気。周囲に率先して声かけするなど、徐々に司令塔としての自覚も芽生え始めている。
ここ数年、選手たちは優勝はおろか、決勝の舞台さえ経験していない。まずは準決勝を勝ち切って、決勝へ。そしてその先にある本戦へ。新しい景色を見ることができれば、今後の別府鶴見丘にとって大きなプラスになることは間違いない。大会に向けては「チームの連係に関して秘策がある」という舞監督。詳細はまだ明かせないというが、新生・別府鶴見丘に期待が高まる。
(甲斐理恵)
地区を選択
学校名を選択