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全国高校サッカー選手権県予選特集(5) 中津東 蹴ってもつないでも勝てるチームへ【大分県】

全国高校サッカー選手権県予選特集(5) 中津東 蹴ってもつないでも勝てるチームへ【大分県】

 高校サッカーの集大成となる全国高校選手権大分県予選が、いよいよ10月18日に開幕する。36校34チームが出場し、1回戦から熱戦が繰り広げられる。大分鶴崎が頭一つ抜けた存在として優勝候補筆頭に挙がるが、挑戦者たちも大舞台を目指し闘志を燃やしている。果たして冬の切符を手にするのはどこか。本特集では、その主役候補となるシード8校を余すことなく紹介する。第5回は中津東。夏の鍛錬で磨いた柔軟性を武器に、全国選手権県予選での飛躍を狙う。

 9月、OFAリーグ(1部)後期が幕を開けた。中津東の初戦は大分西との一戦。結果は2―5と黒星発進だったが、内容に悲観はなかった。首藤啓文監督は「徐々に自分たちのスタイルを浸透させていけばいい。信念を持って貫くだけ」と振り返り、確かな手応えを口にした。実際に翌週の大分工業戦では3―0で勝利し、戦術が浸透しつつあることを証明した。

 県高校総体までは、前線に2人のターゲットを据え、ロングボールを当てて起点をつくり、こぼれ球を拾ってサイドを崩す戦い方が基本だった。シンプルで力強いスタイルは県内でも十分に通用するが、首藤監督が見据えるのはその先だ。「蹴り合っても勝てるし、パスをつないでも相手を攻略できるチームでなければ、県内で優勝することも、全国で勝つこともできない」。夏休みは徹底して個人技術の底上げに費やされた。狙いはプレーの選択肢を広げ、攻撃にも守備にも柔軟さをもたせることだった。

 その成果が少しずつ形になっている。試合序盤は長いボールを蹴ってリズムをつくり、相手のラインを押し下げる。時間が経てばGKを組み込んでパスをつなぎ、相手の守備ブロックを揺さぶる。相手のプレッシャーのかけ方や人数を見て、センターバック2人が主体となって組み立て方を変える。後藤結俊(3年)がその中心だ。フィードの正確さと冷静な判断力で、攻撃の起点となる。「序盤はロングボールで相手を下げさせ、そこから自分たちのパス回しで崩せている。やることがハッキリ見えてきた」と語るキャプテンの言葉には、自信と確信がにじむ。

自分たちのスタイルを築く中津東

 また、県高校総体までボランチを務めていた井上翔伍(3年)をセンターバックにコンバートしたことで、攻撃の組み立てに安定感が増した。中盤の視野を持つ井上が最終ラインに下がったことで、後方からの展開に厚みが加わった。夏の鍛錬で養った技術が、この新布陣で生かされている。

 「自分たちのスタイルを」と繰り返す首藤監督の言葉には、勝敗を超えた強い意志がある。ロングボールの迫力とショートパスの精緻さ、その二つを自在に使い分ける柔軟性こそ、中津東がこれから戦い抜く武器だ。負けから学び、勝利で確信を得る。戦術の定着はまだ途上だが、チームは確実に進化を続けている。

 全国高校選手権県予選まで残された時間は1カ月。積み重ねた実戦と夏の努力は、確かな自信へとつながっていく。

(柚野真也)

大会結果