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春の高校バレー県予選展望 女子(1)国東 積み重ねた日々を力に挑戦者の逆襲計画 【大分県】

春の高校バレー県予選展望 女子(1)国東 積み重ねた日々を力に挑戦者の逆襲計画 【大分県】

 高校バレーの最高峰・春の高校バレー。その出場権を懸けた県予選が10月25日に開幕する。女子は26年連続41回目の全国切符を狙う“絶対王者”東九州龍谷が、依然として優勝候補の最右翼だ。対抗馬の大分商業をはじめ、他校も頂点を射程にとらえている。熾烈(しれつ)な戦いを制して全国の舞台への扉を開くのはどのチームか。熱戦の幕開けを前に、その行方を占う。

 ここ数年、県内での序列が3、4番手が定位置となっている国東。今年のチームには中学時代の県選抜経験者はおらず、下級生も多い。経験不足は否めないが、実戦と基礎練習を重ねるなかで少しずつ、着実な成長を遂げている。

 辻郁徳監督は7月の天皇杯・皇后杯全日本選手権県ラウンド以降、チームを大きく変えた。春の高校バレー県予選で順当に勝ち上がれば準決勝で対戦する東九州龍谷(東龍)に焦点を絞り、攻守ともに一から見直したという。

 「これまでやってきたのは守りを中心とした“負けないバレー”。選手も安定性を重視して選んできたが、それでは東龍には勝てない。ケガ人が出た場合、出ない場合など複数のパターンを想定し、どんな状況でも戦えるチームづくりを進めている」(辻監督)。

打倒・東龍に向けて戦術を落とし込む辻監督

 現在は、どうすれば東龍と互角に渡り合えるかを考えながら、戦術や起用選手を試行錯誤している最中だ。まだ完成形には遠いものの、選手たちの伸びしろは大きい。残された2カ月弱で化ける可能性は十分にある。

 春の高校バレー県予選に関しては完全実力主義。学年に関係なく、全員が打倒・東龍の思いを胸にレギュラーを目指し、切磋琢磨している。「それぞれに課題はあるが、足りないところに目を向けても仕方がない。選手のいいところを融合させ、東龍に勝てる力を生み出したい」。そんな辻監督の言葉を受け、キャプテンの高橋愛海(3年)も変わり始めている。これまでは試合中に精神的に弱い部分を見せることも多かったが、天皇杯・皇后杯全日本選手権県ラウンドでは逃げずに戦い、殻を破った。

 高橋自身もそれを自覚しており、「今まではミスが怖くて弱気になることが多かった。でも残りの試合が少なくなり、やるしかないと吹っ切れた。みんなにも“勝つための練習を徹底しよう”と声をかけている」と、最後の舞台をまっすぐに見据えている。

練習から勝つイメージを植え付ける

 辻監督といえば臼杵高校を率いていた6年前、東龍から1セットを奪い、絶対王者を追い詰めた。その経験から、打倒東龍が決して夢ではないと知っている。「あの時は練習の段階から選手たちの“本気で東龍を倒す”という気持ちが伝わってきた。このチームがそうなれるかはまだ分からないが、そうでなければ一方的な試合になるだけ。勝敗以前に、体育館を国東の色に染められるような勢いがほしい」

 最後のピースは選手一人一人の思い。その思いが本物であれば、国東が大きく化ける瞬間はきっと訪れるはずだ。

(甲斐理恵)