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全国高校サッカー選手権県予選特集(2)大分 走り込みで鍛えた夏 どん底からの再起誓う 【大分県】

全国高校サッカー選手権県予選特集(2)大分 走り込みで鍛えた夏 どん底からの再起誓う 【大分県】

 高校サッカーの集大成となる全国高校選手権大分県予選が、いよいよ10月18日に開幕する。36校34チームが出場し、1回戦から熱戦が繰り広げられる。大分鶴崎が頭一つ抜けた存在として優勝候補筆頭に挙がるが、挑戦者たちも大舞台を目指し闘志を燃やしている。果たして冬の切符を手にするのはどこか。本特集では、その主役候補となるシード8校を余すことなく紹介する。第2回は、あと一歩が届かない悔しさを胸に刻む大分だ。

 昨年度の大分は、県内主要大会で準優勝が続いた。今年も県高校総体であと一歩のところまで迫りながら、頂点には届かなかった。3年ぶりとなる全国高校選手権出場を目指す今大会、選手たちは夏休みに例年以上の走り込みで基盤をつくった。しかし、OFAリーグでは結果が出ず、どん底ともいえる状況に置かれている。

 攻撃陣の軸はストライカーの松岡祐太(3年)である。縦への突破力を持つサイドの選手たちと連動し、高さを生かしたヘディングや力強いシュートでゴールを狙うのが持ち味だ。ただし、最大の課題は「決め切る力」に尽きる。6日のOFAリーグ、柳ケ浦セカンドチームとの一戦では0―2で敗戦。優位に立つ時間帯もありながらスコアに結びつけられず、課題が改めて浮き彫りとなった。

前線で起点となる松岡

 「精度が上がれば守備にも余裕が生まれる」と岡松克治監督は指摘する。攻撃でリズムをつくれれば守備にかかる負担は軽減される。逆に決め切れないことで、守備にかかるプレッシャーが増し、失点に直結してしまう。攻守のバランスを左右するのは、まさにフィニッシュの完成度である。

 岡松監督の採点は厳しい。体力だけが9と高評価を得たのは、夏に走り込んだからだ。「全国総体に出られなかったから走り込むしかなかった。その効果はこれから涼しくなれば出てくる」と言う。だが「エースストライカーがいない」「守備の簡単なミスが多い」と言葉は辛辣(しんらつ)だ。選手たちに現状の甘さを突きつけ、奮起を促している。

 キャプテンの岡松愁人(3年)も、その覚悟を隠さない。「この夏はとにかく走った。量を意識して走り続けた。基礎体力の徹底こそ強いチームをつくる第一歩」と振り返る。「どん底だからこそ、はい上がるしかない。自分が一番走り、声を出し、得点やアシストで結果を残す」と誓う姿に、チームを背負う決意がにじむ。松岡もまた「自分が得点を決めて勝つしかない」と覚悟を言葉にする。「これ以上落ちることはない。ここから県予選に向けて自分が何をすべきかを考え、日々の練習から意識を高く持つ」と前を向く。

 頂点まであと一歩。その歩みを確かなものにするには、最後の局面で仕留め切る力が不可欠だ。悔しさを背負ったまま挑む全国選手権県予選。走り込みで積み上げた力と、泥臭さの中から生まれる勝負強さを武器に、勝ち上がる覚悟だ。

(七蔵司)

大会結果