OITA SPORTS

9/10 WED 2025

supported by

三協通産

バレー バレー

NEW!

春の高校バレー県予選展望 男子(3)大分南 挑戦の舞台は整った 3連覇へ続く勝利の道 【大分県】

春の高校バレー県予選展望 男子(3)大分南 挑戦の舞台は整った 3連覇へ続く勝利の道 【大分県】

 6月の県高校総体を経て、チームが次々と動き出した。迎えるのは春の高校バレー県予選。男子は大分南、大分工業の2強が有力だが、虎視眈々と他校も王座を狙う。高さか、粘りか、あるいは総合力か—。大会を制し、全国への扉を開くのはどのチームか。熱戦の幕開けを前に、その行方を展望する。

 春の高校バレー県予選に向けて大分南が盤石だ。県高校新人大会から全九州総合選手権県予選、県高校総体と制し、県内公式戦で無敗。県内4冠に王手をかけ、さらに今大会で3連覇がかかる。全国高校総体や国スポ九州ブロックを経て、全国の強豪校とも互角に渡り合えるようになったチームは、隙のない布陣を整えつつある。

 柿原茂徳監督は「昨年のエースが抜けた分、高さとパワーがないと全国では勝てない」と率直に語る。その不足を補うために掲げたテーマは、セッターを軸にした総合力だ。昨年はエースに託せば決まるというシンプルなチームだったが、今年はセッターの仲本路惟(2年)が多彩なトスワークで攻撃を組み立てる。仲本は昨年、ベンチから悔しさを味わった経験を糧にし、柿原監督とはアイコンタクトで意思疎通できるほどに成長。司令塔の成熟が、チームの進化を象徴している。

多彩なトスワークで攻撃を組み立てる仲本

 守備でも安定感が光る。リベロの大久保希音(2年)と森山慎平(1年)は的確なレシーブでチームを支え、拾い負けしない粘りを生み出す。柿原監督は「県内で勝つためには守備が乱れないこと。スパイカー陣には力がある」と語り、攻守のバランスを徹底している。

 攻撃の軸はキャプテンの井手平夏和と宮永晃宏の3年生。最高到達点はともに330cm。井手平は昨年控えだったが、身長が急激に伸び、経験を積んでエースとしてチームの顔となった。「1セットも落とさず優勝したい。つなぎとセッターがいいので、自分と宮永が決め切るだけ」と語る言葉には、主将としての覚悟がにじむ。

 3年生には「やるしかない」という覚悟が宿る。柿原監督は「井手平と宮永にはもうワンランク上に」と求め、限界を超える成長を促している。リズムのスポーツであるバレーボールは、25点を3セット先取するまで何が起こるかわからない。全国舞台でその現実を痛感した選手たちは、集中力を切らさない精神力を武器に、新たな頂を目指している。

3年生が勝負の浮沈を握る

 「春の高校バレーは別物」と柿原監督は語る。観客の熱気、注目度の高さ、独特の緊張感。そのすべてが普段の大会とは違い、積み上げたものを試す“真の全国の舞台”になる。だからこそ、大分南は守備を固め、セッターがトスを自在に操り、スパイカーが決め切る“総合力のチーム”へと生まれ変わった。連覇と4冠が懸かる県予選の先に待つ全国の檜舞台に向けて慢心はない。

(柚野真也)