
ヴェルスパ大分 決め切れず痛恨の黒星 首位攻防で苦杯を喫する 【大分県】
サッカー
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高校サッカーの集大成となる全国高校選手権大分県大会が、いよいよ10月18日に開幕する。36校34チームが出場し、1回戦から熱戦が繰り広げられる。大分鶴崎が頭一つ抜けた存在として優勝候補筆頭に挙がるが、挑戦者たちも大舞台を目指し闘志を燃やしている。果たして冬の切符を手にするのはどこか。本特集では、その主役候補となるシード8校を余すことなく紹介する。第1回は連覇を狙う大分鶴崎。経験豊富な3年生と多彩な戦術を武器に頂点を目指す。
戦力分析(10点満点)
攻撃力:9
守備力:8
組織力:8
3年生力:10
体力:8
精神力:9
6月の県高校総体を制し、九州大会、全国高校総体で全国の強豪と真剣勝負を重ねる中で確かな成長を遂げた。約2カ月ぶりに再開されたOFA1部リーグ後期初戦では、日本文理大学附属に8-1の圧勝。盤石の強さを示した。
今季の大分鶴崎を支えるのは、豊富な経験を持つ3年生たちである。首藤謙二監督は「今年は6月で引退せず、13人の3年生が残った。ここ数年で一番多い」と語る。昨年の全国選手権を経験した選手も多く、全国の舞台を知る3年生が多い。加えて、全国各地で強豪校と練習試合を積み重ねてきたことで、格上相手にも臆せず戦える自信を手にした。
しかし、首藤監督は「追われる立場になる県大会では“格上、格下”という意識を持たせたくない」と警戒する。強者の慢心は敗北を呼ぶ。だからこそ「まだ何もつかんでいない、まずは全国選手権の出場権獲得を目指す」と言い聞かせ、謙虚に挑む姿勢を徹底している。
戦力分析では攻撃力9、守備力8、組織力8、体力8、精神力9と高水準。特に「攻撃力」は爆発力を秘める。首藤監督は「攻撃がハマったときの迫力は相手にとって嫌だろう」と胸を張るが、引いて守る相手を崩す精度は課題だ。クロスの質や狭いエリアでの判断を磨き、崩し切る力を追求している。
夏場のテーマは「1人でプレーしない」ことだった。独り善がりなプレーを排し、テンポよくボールを動かす。タッチ数の多い選手は相手の標的になりやすいため、適切なタイミングでボールを離す意識を強めた。首藤監督は「全員でやれば“すげえな”というプレーが出る」と語る。まさに「全員で戦うチーム」への進化を遂げつつある。
戦術面でもバリエーションが増えた。右サイドバックの高野将大(3年)は昨年からのレギュラーで安定感抜群。左サイドバックの山本一晟(同)は「チーム随一に走れる選手」(首藤監督)で、試合終盤でもスプリントを繰り返し、攻守に活力を与える。最終ラインからのビルドアップを重視し、センターバックとサイドバックを絡めて試合を組み立てるスタイルは、今年のチームを象徴する。
前線では新たな軸が生まれた。推進力を武器に相手を切り裂く1トップの山下紫凰(2年)だ。首藤監督は「GKと1対1まで持ち込める力がある。決定力を高めれば得点はもっと伸びる」と期待を寄せる。さらに、河野真剣(同)も前線でボールを収められる器用な選手。試合の流れや相手に応じて布陣を変えられる柔軟性は、昨年以上の武器になる。
課題は、強度ある試合を重ねてきた夏をどう乗り越え、秋の県予選へピークを持っていくかだ。首藤監督は「ここからは走り込みでメンタルも含めて追い込む」と語り、鍛錬を続ける構えを見せる。
連覇、そして県内4冠がかかるが、首藤監督は「意識は全くしない」と言い切る。昨年、自らが挑戦者として県内負けなしだった柳ケ浦を倒した経験があるからだ。挑戦者であることを忘れない限り、再び頂点に立てる力はある。経験と多彩さを武器に、大分鶴崎が再び冬の全国舞台を目指す。
(柚野真也)
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