
全国高校総体 剣道女子 鶴崎が全国3位 仲間と歩んだ3年間 【大分県】
剣道
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中元緑映(あおは・明豊3年)の剣道人生は、4歳で竹刀を握った瞬間から始まった。県内でも指折りの逸材へと成長し、高校は全国屈指の強豪・明豊に入学した。「一番きつい場所を選んだ。日本一になるためには苦しいことを乗り越えなければならないと思った」と語るように、その覚悟は揺るぎなかった。
しかし、現実は厳しかった。入学当初は稽古についていくのがやっとで、何度も心が折れそうになった。逃げ出したい思いに駆られたとき、先輩の言葉が支えになった。「今だけの苦しさに目を向けるな。その先のことを考えろ」。励ましを胸に、竹刀を振り続けた。
転機は1年の冬、関東に遠征して出場した小さな大会だった。団体で優勝を果たし、初めて手応えを感じた。「構えを崩さず、真っすぐ面を撃ち抜くのが自分のスタイルだ」と、自らの剣道を見つけた瞬間だった。以後、中元は全国の舞台で次々と存在感を示す。団体では1年時に全国選抜団体優勝、2年時には同大会準優勝と全国高校総体3位。個人でも全国高校総体で2年時に5位タイ、そして今夏には準優勝と輝かしい成績を残した。
成長の裏には意識の変化があった。1、2年の頃は「ただついていくだけ」だったが、最上級生となってからは「どうすれば勝てるかを自分で考え、チーム全体を見られるようになった」と語る。面に加え、鋭いコテも武器とし、攻めの幅を広げた。3年間指導してきた間津俊亮教諭も「周りを意識できるようになったことで、相手の機微を感じ取れるようになった」と成長を認める。
中元が目の前に据えるのは、今日から始まる国スポ九州ブロック大会だ。「高校3年間の恩返しの大会としてやりがいを感じている。楽しんで剣道をしたい」と語る言葉には、重圧ではなく充実感がにじむ。これまで培った技と心を携え、高校最後の舞台に挑む。
そしてその先には、大学での新たな挑戦が待っている。日本一を経験し、最後は個人で全国準優勝を果たした剣士の視線は、次なる舞台へとまっすぐ向けられている。「再びの日本一」を胸に刻みながら、まずは国スポで3年間の集大成を示す。仲間や指導者、そして自分を支えてきたすべてに恩返しをするために、中元は真っすぐな面を撃ち抜く。
(柚野真也)
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