別府翔青高校総合運動部(アーチェリー) 小野翔音(1年) file.790
アーチェリー
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全国高校総体 アーチェリー女子 大分東明が団体準優勝、流れを変えた矢と心 【大分県】
全国高校総体(インターハイ)アーチェリー女子団体で、大分東明は準優勝に輝いた。予選を1位で通過し、1回戦から準決勝まで高得点を叩き出す圧倒的な安定感を見せたが、頂点にはあと一歩届かなかった。
決勝は強風との戦いだった。めまぐるしく向きを変える風に適応できず、1、2セットはいずれも落とす。試合の流れを変えようと、3セット前に石井美羽(3年)が射順の変更を提案。1年の久留主未来を先頭に据え、「ピンときた」という直感で勢いを呼び込んだ。そこから反撃し、勝負はシュートオフへ。しかし最後は力尽き、銀メダルに終わった。
個人戦で2位に入った石井は、「決勝まで調子はどんどん良くなっていた。それだけに負けた悔しさは大きい」と残念がった。だが、劣勢の中で試合を動かす一手を打った判断力は、最上級生としての責任感の表れだった。
キャプテンの沢田こころ(3年)は、中学3年時に石井とともに国体少年女子で日本一に輝き、高校に入学してからは国体連覇やインターハイ上位進出を重ね、最後の夏は「優勝しか考えていなかった」と臨んだ。決勝は「悔しかったけど、最後は楽しかった」と振り返る。3年間を「めちゃくちゃ濃かった」と言い切り、「大学でも競技を続け、日本一を目指す」と前を向いた。

初のインターハイに臨んだ久留主は、姉の影響で中学1年から競技を始め、全国の舞台でもまれてきた。だが今回は「緊張を集中力に変えられなかった」と悔しさをにじませる。それでも「2人の先輩からは、自分よりもチームを優先する姿勢を学んだ」と語り、次の目標に国スポ優勝と九州新人大会制覇を掲げた。
一昨年5位、昨年3位、そして今年は準優勝。年ごとに順位を上げてきた東明の歩みは、確実に日本一へと近づいている。惜しくも頂点を逃した今大会だが、風を読み切れなかった悔しさも、流れを変えようと挑んだ勇気も、すべてが次の戦いの糧になる。
この経験は、選手たちに「どんな逆境でも最後まで諦めない」という強い信念を刻み込んだ。石井は国スポでの雪辱を胸に、沢田は新たな舞台・大学での頂点を目指し、久留主は先輩から受け継いだ覚悟を胸に次代を担う。

(柚野真也)