
国スポ バスケットボール少年女子 国スポ切符へ 走れ大分選抜 【大分県】
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全国高校総体バスケットボール女子の舞台で、明豊はひと皮むけた。1回戦、奈良文化を52ー49で退けた試合は、数年ぶりに留学生や関東の大型チームではない相手との真っ向勝負。自分たちの力を試すには絶好の機会だった。しかし試合中盤、思わぬアクシデントが襲う。キャプテンの中島綾香(3年)がドライブから相手と接触し、脳しんとうでコートを後にした。突然の離脱にも、1年の繁松椿が代役として堂々とプレーし、チームは揺るがなかった。中島の存在の大きさと、若い力の台頭。その両方を感じさせる時間だった。
続く2回戦は、倉敷翠松(岡山)に64ー72で敗れた。相手には180cmを超える留学生がいたが、その高さに圧倒されたわけではない。痛かったのは試合の入りで0ー7とつまずいたことだった。第2クオーターで盛り返し、終盤には3点差まで迫る粘りを見せたが、肝心の場面でシュートを決め切れず、あと一歩及ばなかった。さらに、中島が5ファウルで退場したことも大きな痛手となった。
それでも杉山真裕実監督は、「あなたたちなら自分たちの力で勝てる」と声をかけ、選手たちに自信を植え付けた。その言葉はすぐに現実となる。全国総体直後に出場した広島でのカップ戦では、チームが一丸となって全試合を勝ち切り、見事に優勝。長く一つ上の代と比べられ、重くのしかかっていたプレッシャーは、勝利の瞬間にすっと消え去った。コートには、己の力を信じられるようになった3年生たちの晴れやかな笑顔があった。
中島は1年時から全国を経験し、冷静沈着なキャプテンシーでチームを導いてきた。「ウインターカップ県予選はダントツで勝ち、全国ベスト8を狙う」と目を輝かせる。課題はシュート率向上。「不安は練習でしか消せない」と、全国総体の悔しさを糧にする。
守備の要は「職人」松下みのり(3年)だ。相手エースを止めることに誇りを持ち、泥臭くも粘り強いディフェンスでチームを支える。「守備力は今年の武器。もっと磨きたい」と語る一方で、その守備から速攻や得点につなげるため、外角シュートの精度向上にも取り組んでいる。
そして、攻撃の切り札は平倉千春(3年)。スピードに乗ったドライブで一気に試合を加速させる存在だ。全国では、県内なら通用していたプレーがブロックやリバウンドで阻まれた。「1試合平均20点を取れる選手になりたい」と決意し、3点シュートの精度を高めることを誓う。
この夏、明豊の3年生はそれぞれの役割を胸に刻んだ。中島は統率力、松下は堅守、平倉は得点力。その全てが冬の大舞台での飛躍に欠かせない。悔しさと手応えを抱えた明豊に迷いはない。次は自分たちの力を信じて、全国のベスト8の壁を越えてみせる。
(柚野真也)
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