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バサジィ大分 問い直す覚悟 逆襲へ走り出せ 【大分県】

バサジィ大分 問い直す覚悟 逆襲へ走り出せ 【大分県】

 開幕から10試合を終えたバサジィ大分は、3勝2分5敗の勝ち点11で9位に低迷している。決して望んだ序盤戦とはいえないが、選手が大幅に入れ替わった今季は、チームづくりそのものが試練の連続だった。

 「ほぼゼロからのスタートだった」。狩野新監督は現状をそう表現する。主力の大半が入れ替わり、継続性のある積み上げは皆無に等しかった。昨季は主力のけがが多く、1シーズン通して試合に出たのは陣川凌のみ。プレッシャーの連動性、マンツーマンの守備強度、ショートカウンターの仕掛けどころといった戦術面の細部が、まだ選手間で共有されていない。理解は進んでいても、実行に移す体力と集中力が後半に欠け、終盤に入るとポジショニングが崩れ、守備と攻撃のバランスも一気に崩壊する。それが敗戦につながる流れだ。

戦術を浸透させる狩野監督

 理想とするのは、高い位置からのプレスとそこからのショートカウンター。サイドへ誘導し、ボールを奪った瞬間に逆サイドへ展開する。走力のあるチームだけに、絵としては描けている。ただし、狙い所を絞っても寄せ切れない、連動がかみ合わない、最後にシュートを決め切れない。すべてが“あと一歩”足りないまま、10試合が過ぎた。

 キャプテン吉田圭吾はその“足りなさ”を痛烈に自覚していた。「今の順位は妥当。失点も技術的な問題より、個の準備ができていない」。第7節からの3連敗をきっかけに、選手だけでミーティングをして、覚悟を問う言葉をぶつけ合ったという。

 「待遇も練習環境も申し分ない。それなのに練習後にボールを蹴る選手は少ない。ケアも不十分。そんな姿勢で勝てるわけがない」。吉田の言葉は、自分自身への戒めでもあった。チームはそこから少しずつ変わり始めた。

激しくチームを鼓舞する吉田

 収穫もある。経験豊富な仁部屋和弘、田村龍太郎のベテラン選手の存在が、若手に刺激を与えている。ピッチ外でも意識が変わりつつある今、今後の2試合を連勝で締めくくることができれば、1カ月余りの中断期間を好転のターニングポイントにできるはずだ。

 厳しい立ち上がりを経て、ようやくチームは本当のスタートラインに立った。その先にあるのは、浮上か、停滞か。答えは次の2試合にかかっている。

(柚野真也)