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3年生、夏物語 ライフル射撃 競技人生に悔いなき別れを 【大分県】

3年生、夏物語 ライフル射撃 競技人生に悔いなき別れを 【大分県】

 全日本スポーツ射撃選手権大会で、個人ビームライフルの頂点に立った秋吉柚奈(由布3年)。その勢いのまま挑んだ全国高校ライフル射撃選手権では、団体戦で準優勝。前年の8位から大きく躍進したものの、「あと一歩で優勝だったので、優勝旗を持って帰りたかった」と悔しさをにじませた。

 一方、個人戦では「優勝できると思っていた」という強い自信があっただけに、準優勝という結果に落胆は大きかった。「気持ちの面であと一つ足りなかった。自分の中に弱い部分があった」と、自らの甘さを悔いる。周囲の期待も大きく、「勝って当然」という目線がプレッシャーとなって重くのしかかった。緊張により本来の力を出し切れなかったという。そうした経験は、今後の大会に向けて「気持ちの整え方」「プレッシャーへの向き合い方」といった精神面の課題を見つめ直すきっかけとなった。

精神面の課題を見つめ直す秋吉

 秋吉が競技と出合ったのは、小学6年の時。偶然見たライフル射撃に心を奪われた。集中力を研ぎ澄まし、自分と向き合う競技。その魅力に引かれた。高校入学と同時に射撃部へ入り、持ち前の負けず嫌いを糧にトリガーを引き続けた。「練習すればするほど当たる。結果が目に見えるのが楽しかった」と振り返る。2年生になる頃には全国でも入賞できる実力に達していた。

 飛躍の契機は、2年秋のフォーム修正だった。国スポを終えた直後、自らの姿勢を見直し、足の角度、肘の位置を変えた。「少しの変更で驚くほど変わる。勇気を持って変えたことが今につながっている」。フォームの見直しが奏功し、今年3月の全国高校選抜大会では個人準優勝。確かな手応えを得た。

 目指すは国スポでの日本一。九州ブロック大会を経て、JOCジュニアオリンピックカップで腕を磨く。「どんな空気でものまれないように。周りがどう言おうと、自分が一番だと思える心で挑む」と気を引き締める。

 副キャプテンも務めた高校3年間を「想像以上だった」と振り返る。全国大会での経験、チームを引っ張る立場、自分との対話。そのすべてが秋吉を成長させた。「ライフルが好きだから、たくさん努力できた。練習した分だけ自信になった」と語る姿は、自分を信じる強さに満ちている。

 秋吉は、国スポを最後にライフル射撃の競技人生に区切りをつけると決めている。「やりたいことがある。動物看護師になる夢に向かって進みたい」と、次の目標を見据えている。

 だが、その前にどうしても叶えたい願いがある。「最後まで射撃を楽しみたい。好きだからこそ自分が納得できる形で終わりたい」。競技を締めくくる舞台に選んだ国スポで、有終の美を飾るつもりだ。

「国スポで優勝し有終の美を飾りたい」と語った

(柚野真也)