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サッカーU―18プリンスリーグ九州 大分トリニータU―18 中断期間を超えて描く後半戦の青写真 【大分県】

サッカーU―18プリンスリーグ九州 大分トリニータU―18 中断期間を超えて描く後半戦の青写真 【大分県】

 サッカーのU―18プリンスリーグ九州は、前半戦を終えて2か月の中断期間に入った。大分トリニータU―18は、2勝3分4敗で8位。プレミアリーグ昇格を目指すチームとしては決して満足できる順位ではない。山崎雅人監督は悲観ばかりを抱いているわけではない。「もう少し勝点を取りたかったというのが本音だけど、選手たちはいろんなチャレンジをしてくれた。収穫はあった」

 そう前向きに語る一方で、理想と現実の“ずれ”を痛感する時間でもあった。山崎監督が目指すのは、前線から積極的にプレスをかけるアグレッシブなサッカー。しかし、個々の特性やチームの構成を見たとき、それを成立させるには課題も多かった。「前からプレスをかけたいという理想はある。でも、前に出た分、後ろにスペースができる。そこを消せるだけの守備力が、まだ全員に備わっているわけではなかった」(山崎監督)。

個の強化を掲げる山崎雅人監督

 シーズン序盤は、昨年までの主力がごっそり抜け、チームのベースづくりからのスタートだった。プレースタイルの最適解を見つけながら戦う中で、少しずつ“土台”が見えてきたという。だからこそ、この中断期間は貴重な時間になる。山崎監督が掲げるテーマは「個の強化」だ。「一人一人のタスクや役割を大きくすること。チーム戦術うんぬんより、まずは自分の武器を磨くことが最優先だと思っている」

 後半戦のキーマンとして名が挙がったのが中盤の高橋七皆(3年)と吉広幸太郎(同)。ともに守備的MFとしてピッチ中央に立ち、攻守のバランスを整える存在だ。山崎監督は「高橋は本来攻撃的な選手ですが、セカンドボールへの反応も良く、今は守備でも頼りにしている。吉広は高橋の背後の広大なスペースを1人でカバーできる選手。2人で中盤を支えてくれている」と期待する。

 また、攻撃陣で“異彩”を放っているのが山内湊人(同)。プレーの予測がつかない、アイデア豊富なストライカーだ。「彼のプレーは読めない。何かをやらせるというより、自由にやらせた方が力を出せるタイプ。規格外の発想がある分、最低限の守備タスクだけは与えて、あとは余白を残してあげるようにしている」(山崎監督)。型にハメすぎず、でも“チーム”として勝つために必要な線引きは示す。それが山崎監督のスタンスだ。

攻撃の変化をもたらす山内湊人

 中断からの2カ月、山崎監督が意識するのは、チーム内の競争構造だ。「ふわふわしてる選手はBチームに落ちるよ」と伝え、緊張感を持たせる。AチームとBチームの入れ替えは頻繁に起こす。選手の“今”を見極め、評価する。それは監督一人の仕事ではない。「スタッフ全員で状態を見て、声をかけ、必要なアクションを起こす。その積み重ねが、チームの底上げにつながると信じている」

 U―18世代の2カ月は大人以上に成長が加速する。個が鍛えられ、競争の中で芽を伸ばす選手たちが、どんな姿で後半戦のピッチに帰ってくるのか。大分トリニータU―18の逆襲は、ここから始まる。

(七蔵司)

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