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大分トリニータ 新戦力と歩む後半戦の反攻へ 【大分県】

大分トリニータ 新戦力と歩む後半戦の反攻へ 【大分県】

 リーグ戦6試合未勝利―。中断期間に突入する直前、大分トリニータは苦しいトンネルの中にいた。だが、チームが崩壊したわけではない。堅守は機能し続けている。課題は明確だ。「得点力の向上」、そして「攻撃の再構築」。この3週間の中断期間で、片野坂知宏監督と吉岡宗重スポーツダイレクター(SD)は、改善のための布石を一つずつ打ってきた。

 新戦力の加入は、チームに新たな選択肢と競争をもたらした。三竿雄斗の復帰は、香川勇気の移籍によって手薄となった3バック左の穴を埋める以上の意味を持つ。2019年から4年間在籍し、公式戦138試合に出場した実績と経験。何より、かつてともに戦った片野坂監督との信頼関係がある。戦術は当時と比べて変化しているが、それでも片野坂監督は「(三竿)雄斗らしさを発揮して、チームに貢献してくれる」と語り、即戦力としての期待を隠さない。今はまだコンディションを整える段階ではあるが、トレーニングマッチでのプレーには光るものがあった。

綿密にコミュニケーションを図る片野坂監督(左)と吉岡宗重SD

 前線に加わったグレイソンにも大きな期待がかかる。ブラジル人FWは岡山で出場機会に恵まれなかったが、その身体能力と推進力は大きな武器になる。起用法によってはチームの攻撃の幅を一気に広げる可能性を秘めている。片野坂監督は「戦い方を変えるつもりはない」としながらも、新加入選手の特徴を理解し、戦術の中でうまく生かす構えだ。「いい守備から、いい攻撃へ」というチームのコンセプトを貫きながら、柔軟に厚みを加えていけるかどうか。2人のフィットは、後半戦の浮沈を左右する重要なポイントになるだろう。

 中断期間におけるトレーニングの焦点は、攻守の切り替え、いわゆる“トランジション”に置かれた。吉岡SDは「守備から攻撃へのイメージ共有」を徹底したという。戦術理解を「言葉ではなく、体で実行する」段階まで高めていくという狙いは、選手の攻撃意識に変化をもたらす可能性がある。

 暑さとの戦いも続く。ミドルゾーンで構える守備から、状況に応じてハイプレスへ移行する可変性の高い守備を理想に据えるが、それを体現するには体力も必要だ。中断期間にコンディションを整えつつ、先制後に自陣に引きすぎてしまう悪癖を修正する作業も同時に進めてきた。

 今週末からはホーム2連戦が控える。まずは昇格組ながら手強い相手・FC今治戦。外国籍選手のパワーとスピードにどう対抗するか、攻撃をどう構築していくかが問われる。そして富山戦へと続く流れの中で、勝利という「結果」にこだわる。片野坂監督は言う。「勝つ準備は整ってきた。あとは、やるだけ」

 中断期間の3週間が後半戦に向けた確かな“積み上げ”となるか。トリニータの再出発が始まる。

リーグ再開に向けてチームの雰囲気は上々

(柚野真也)

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