
全国高校野球大分大会 グッドルーザー 日田林工の鼓動 敗れて見えたもの 【大分県】
野球
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第107回全国高校野球選手権大分大会は24日、別大興産スタジアムで準決勝があり、決勝カードが決まった。5連覇を狙う第1シード明豊と、悲願の夏初出場を目指す第2シード大分舞鶴が、栄冠を懸けて激突する。
両校は昨年の同大会決勝でも顔を合わせており、そのときは12-6で明豊が勝利。新チームになってからは、秋の九州地区県予選準決勝で対戦し、明豊が3-2と僅差で制している。
この一年でどれだけ成長し、自分たちの野球を磨いてきたか。その集大成が、ついにぶつかる。甲子園への扉をこじ開けるのは、王者の風格か、それとも挑戦者の執念か。25日の休養日を挟み、決勝は26日午前9時半にプレーボール予定。準決勝を終えた両校の監督、キャプテンに、熱戦への意気込みを聞いた。
【明豊】
準決勝
明 豊 030 000 011|5
鶴崎工業 000 000 000|0
川崎絢平監督
準決勝の先発は大堀羚斗(3年)でした。準々決勝では彼本来の投球ができていなかったので、「やり返してこい」と前日に伝えていたんです。悔しさを持ってマウンドに上がってくれたと思います。速球派ではないけれど、初見で打ちづらい独特のボールを投げるのが持ち味。今日はそれをようやく出してくれましたね。しかもバッティングにも期待していたら、しっかり結果を出してくれて、言った通りになりました。
継投した大浦崇輔(同)も良かった。緩急のギャップが生きました。大堀の柔らかい球の後に、力のあるボールを投げる大浦が来ると、やっぱりタイミングが取りにくい。ある程度想定した通りの継投でした。
攻撃においては序盤はバントが決まらず流れをつくれなかったけれど、終盤でようやくスクイズが決まりました。やっぱりバントが決まると得点につながる。あらためて基本の大切さを感じました。
うちは練習試合からずっと総力戦でやってきたチームです。20人全員が与えられた役割をしっかり全うしている。試合に出ていない選手も、腐らずに準備を続けているんです。そんな姿を見せてくれる3年生がいるから、下級生もついてくる。それがうちの強さです。
決勝は舞鶴。ここ数年ずっと決勝で当たってきた好敵手です。彼らの「絶対勝ちたい」という気持ちは強い。でも、それ以上の覚悟を持って、頭は冷静に、戦術を徹底する。それが明豊の野球です。気持ちだけでは勝てない。冷静に、知的に、全員で戦う野球で勝ちにいきます。
キャプテン岡田晴樹(3年)
準決勝は、先行だったので「先制して自分たちの流れに乗ろう」とチームに声をかけて臨みました。その通りに3点を先取できたのは良かったですが、中盤で追加点が取れなかったのは課題です。攻守ともに、終盤の流れを意識した野球をもっと突き詰めたいと思っています。
決勝の相手は舞鶴。エースの秋田投手は本当にいいピッチャーなので簡単には崩せないと思っています。でも、自分たちは気持ちで絶対に負けません。
甲子園は、これまで補助に回ってくれた仲間や、支えてくれた家族に恩返しするためにも、何としてもつかみたい。ここで勝たなければ意味がないと思っています。決勝で負けたら、1回戦負けと同じ。だからこそ、これまでやってきたことに対してぶれることなく、圧倒して勝ちたい。明豊らしく、冷静に、そして強い気持ちで戦い抜きます。
【大分舞鶴】
準決勝
柳ケ浦 100 000 000|1
大分舞鶴 001 010 00×|2
河室聖司監督
魂のこもったピッチングでした。準決勝は先発の秋田康介(3年)が最後までよく投げてくれました。内野に三つの失策が出て、ずっとヒヤヒヤの展開でしたが、なんとか勝てた。その勝利の裏には秋田の気迫があったと思います。
ただ、野手たちが準決勝は硬かった。ビビってしまっていた。走塁ミスもあったし、相手投手のストレートが思った以上に良くて、打線も苦しみました。でも、大事な場面で得点できたことは収穫です。
昨年に続いての決勝進出です。昨年は「決勝に行けた」ことに満足していた。でも、もう違います。今は「勝って甲子園に行く」ことだけを見据えています。選手たちにもそう伝えています。
この一週間、私たちは「魂」というテーマを掲げてやってきました。魂とは、非科学的なようでいて実は一番大事なもの。相手に立ち向かう強い気持ち、自分がアウトを取る、自分が勝負を決めるという気迫。今日はそれが足りなかったから、初回のフライでお見合いが起きたし、チャンスでの判断も甘かった。
でも、成功体験を積めた。チームにとって、それは大きい。次はもっとリラックスして、いい試合ができると思います。あとは、バッティングの状態を調整して、もう一度気持ちを入れ直すこと。
最後に必要なのは、やはり魂です。選手も、私たちスタッフも、もう誰も「決勝に来ただけで満足」なんて思っていません。ここで勝つ。そのために、泥臭く戦います。魂を込めて、甲子園をつかみにいきます。
キャプテン・三浦佑樹(3年)
今日の準決勝は、総力戦という気持ちで臨みました。最初は少しバタつきましたが、「焦るな、落ち着こう」と声を掛け合い、逆転できたことが大きかったです。うちはピッチャーがいいので、3点取れれば必ず勝てるという思いがありました。チャンスで打てたのも、仲間たちがつないでくれたおかげ。この大会、自分はあまり打てていなかったので、何としても貢献したかった。
ここまで勝ち進めたのは、「絶対に甲子園へ行く」という強い気持ちが全員にあったから。課題だった打撃も、今回はしっかり機能しています。ただ守備にミスがあったので、決勝までにしっかり修正したいです。
明豊には昨年の決勝で負けています。今年こそはリベンジしたい。先輩たちの思いも背負って、自分たちの野球で勝ちたい。応援してくれる人たちへの感謝を胸に、全員野球で挑みます。
(柚野真也)
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